スフィンクスの肖像 Portrait of the Sphinx
2006年制作 プリント2023年
[デジタル写真 ジークレー版画、ハーネミュー レ、アルポリ加工]
人間の心理の揺らぎを利用した作品。
画像の人物は目を閉じているようにも開いているようにも見える。
「見る」ことと「見られる」ことが同時に起こる視線の交換装置となっている。
人間は物を観るとき、「網膜」に写ったものを「脳」で解釈して判断している。
同じ物を見ても、観ているものは人によって、また観るときによっても違う。
作品は見るものの心を映す鏡のような存在である。
元々はレオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザの左右の視線が違っているという
中村英樹氏の論文からヒントを得たもの。
スフィンクスとは
ギリシア神話に出てくる、謎を問いかける怪物または神聖な存在。
この作品は、
「あなたには本当に世界が見えているのか」
「あなたが見ている世界は本当なのか」と問いかけている。
本作品はアメリカのアーティストinレジデンスに滞在中に制作した作品。当初は壁にプロジェクションしていた。今回はプリント作品として展示する。茨城県立近代美術館企画展「目を閉じて〜観ることの現在」に展示したほか、
ヘルシンキのアートセンターG18、ダヴィンチが設計したと伝えられる
スイスロカルノのイル・リヴェリーノLDVギャラリーなどでも展示している。