17世紀半ばの海賊をロックスターに例えるのは、キャッチーなコンセプトだ。どちらのグループも、反抗、自由、社会的規範にとらわれない生き方を連想させることが多い。しかし、海賊行為が貿易や罪のない人々の生活に与えた過酷な影響を認めることは重要だ。同様にロックの世界にも、薬物乱用から多くのロックスターが直面した精神衛生上の苦悩まで、暗く残酷な側面がある。どんな華やかな見せかけの裏にも、厳しい現実がある。しかし、自己濫用と他人を恐怖に陥れることの区別は重要だ。 大衆の想像力では、反抗的な態度やカリスマ的な人格、服装やライフスタイルによる社会規範への挑戦ばかりが目につく。1650年頃のロックスター」は、時代錯誤で婉曲的な海賊の外見、仕草、服装(履物をチェック)の描写を用い、魅力的なイメージであればあるほど、そのようなライフスタイルの価値が低いことを示唆している。 さらに、どちらの時代にも日は沈んでいる。西洋世界における海賊行為は、海軍のパトロールの増加、海賊行為に反対する国際法の制定、カリブ海や大西洋における伝統的な海賊行為の拠点の衰退に伴い、18世紀初頭に減少し始めた。ロックスターが文化的アイコンであり、音楽業界の支配者であった時代も、デジタルストリーミングやソーシャル・メディア・プラットフォームによる音楽消費パターンなど、いくつかの要因によって徐々に衰退していった。 音楽市場がさまざまなサブジャンルに細分化され、新しい音楽トレンドが出現したことで、音楽産業は多様化し、ロック・ミュージックがかつてのメインストリーム支配を維持するのは難しくなった。
華やかな海賊生活という一般的なイメージは、偽の金でできたフレーム自体によってさらに解体される。