画材は幼少期から親しんできた三菱のuniやHi-uniの鉛筆を主として使用しています。紙はワトソン水彩紙でこの紙は適度な柔らかさがあり、描く際に紙面に跡をつける私の技法に適しているだけでなく、その自然で柔らかな色味が好きで良く使用しています。
この作品は不完全なものの持つ願いや憧れの中に自身の心を打つ事が多くあり、そういった輝きのようなものを絵にしたいと作成しました。強者ではなく弱者が示すものは小さく分かりづらいものもあります。しかしそうして震えながら生み出した小さな光のひとつひとつを自身が美しく思う完成があるなら、その小さな光は自身の中にも残っているのかもしれない。そういった事を想像しながら制作しました。私の描き方は鉛筆の縦の線を重ねる独自の技法です。近くで見ると鋭く硬い線の力強さが、遠くからは柔らかな温かみを感じさせます。心をテーマに描く際、自己陶酔に陥らないよう、皮肉やユーモアを交えた客観的な視点を大切にしています。そうして出来た作品はモノクロームでありながら、見る人それぞれの想像力を引き出し、多様な感情や表情を呼び起こすものとなります。●額装サイズ40×33×2.5CM