福岡県小郡市の大中臣神社の境内に咲く樹齢660年の藤の花「将軍藤」を描きました。幹の色は、視覚的に見える色だけではなく、受けた印象を汲み取って描きました。幹の迫力を強調する為、地面と奥はシンプルにしました。また、迫力あるものを中央に置くことで場所の広大さを感じる効果も出しました。個人的に、このことは小説
「1984年」(ジョージ・オーウェル著)に出てくる黄金郷を想起させます。題名の『文化全体、思考体系全体を無化する古い時代の仕草」は、その場面から影響を受けてつけたもので、660年前から生き続けている古い時代の木は、文化、思考体系などお構いなしに堂々と咲き誇っている姿を見せています。奥の濃い青と地面の薄茶、それと幹の黄色と藤の花の紫を描くことで、色相環における二組の補色同士(十字型)になり、力強さと開放感を表現しています。展覧会「ミネルヴァ2023」で、ロンドンのマル・ギャラリーズと京都京セラ美術館に展示されました。