あおい風船と旅を続けていたワニは、新しい世界を見せてあげようと、ナマケモノを旅に連れ出しました。今まで、毎日ずっと地上の木の上で、葉っぱに身を隠し暮らしてきたナマケモノ。慣れた場所を離れ空を飛んでいくことは、本当はすごく恐ろしい勇気のいることでした。けれどナマケモノは、敢にそして孤独に旅を続けてきたワこをじたのです。旅のなかで、想像もしたことのない、思いもよらない景色や世界に2人は出会っていきました。ナマケモノの心は、いつも不安と感動に震えていました。旅のあいだ、2人は静かで居心地の良い場所に辿り着き、休憩することにしました。ナマケモノを抱きかかえて旅をしてきたワニはクタクタ。腰をおろした途端、スヤスヤと眠ってしまいました。居心地は良いけれど、ここは2人の本当の居場所ではないことは分かっています。ナマケモノも、長い旅にくたびれて眠いです。まどろみながらぼーっと面を見ています。「長いあいだ旅をしてきて、色んな世界を見てきたけれど、木の上にいたときから、なにか自分は変われているのだろう
か?」そのとき一瞬、宙にぼんやりと、不思議な世界が見えたような気がしました。そこでは、遠くから、太陽のように光を放つヒマワリが
「ここまでおいで」
と言わんばかりに、こちらを覗いていました。その光景に心奪われたナマケモノは、希望と不安の中で、その不思議なヒマワリにお祈りしました。旅に連れ出してくれた心優しいワニに、私もいつか新しい世界を見せてあげられますように。そして、いつか2人でヒマワリのいるような明るく暖かな世界に辿り着けますように。優しいワニの寝顔を見て、ナマケモノは少し強くなれたような、幸せな気持ちになりました。ヒマワリの世界が本当に存在するのか、まどろんだナマケモノの見た幻覚なのかは、分かりません。けれど、そうお祈りしたナマケモノは確かにそこに存在するのでした。※木星は「拡大、発展、幸運、成長、豊かさ」を象徴する惑星と言われています。