今日の中国においては、都市化が進み、以前には見られなかったような経済とテクノロジーの価値を中 心とした街の風景があふれている。それでも今なお伝統的な「仮山石」が都市の中の庭園にたたずんで いる。私の制作方法は、様々な筆致の運用に基づいて仮山石を画面に描き出すことである。私の作品は、仮山石の「形似」(現実対象物のリアルな再現)だけを追求するために行 われるのではない。そうではなく、現実の仮山石の形を再現するのではなく「気刀」や「気筆」による 様々な筆致を強調し、そこに制作者としての独特な感性を追求するものである。それによって画面上で の筆法によって生み出された形象の中に「気」の生成の現象を重ね、「皴法」と「気韻」と自己の制作の 複合的な関わり合いを実現することを目指したものである。ここで、「気韻」という概念と自己の制作において見出される表現上の現代的な観念の関わり合いを通して、「気韻」 の意味の重要さを再認識するとともにその概念の現代芸術表現上の新たな可能性として再検討しようと 試み制作を進行させた。