北海道で生まれ育った私は木彫りの熊を見慣れていました。知床で野生の蝦夷(エゾ)ヒグマが冬眠の為に産卵期に川を北上する樺太(カラフト)マスを捕食する姿を描きました。北海道全域の宝物として、北海道遺産に選定されたアイヌ文様があります。代々受け継がれて来た、文様には「魔よけ」の意味があるという説があり、有力とされています。 たとえば、衣服で言うと、襟元や裾、背中などから悪い霊が入り込まないようにという考えで、くもの巣からとられたような網目模様の文様がつけられたそうです。アイヌとはアイヌ語で「人間」を意味する言葉で、もともとは「カムイ」(自然界の全てのものに心があるという精神に基づいて自然を指す呼称)に対する概念としての「人間」という意味であったとされている。アイヌ民族は、おおよそ17世紀から19世紀において東北地方北部から北海道(蝦夷ヶ島)、サハリン(樺太)、千島列島に及ぶ広い範囲をアイヌモシリ(人間の住む大地)として先住民として知られています。そのアイヌ文様をエゾヒグマに施し、
ヒグマは、川を北上するマスを狩り、
マスの魚は生命の危機を感じて、
お腹に抱えた卵を川に落とし、
生命を繋いでいく。人々の暮らしと自然界を生き抜く動物や魚たちの共存共栄を表しています。