【材質等】独自に開発した墨を使用
【作品解説】
ありとあらゆるものが一瞬でつながり、欲しいものがすぐ手に入る時代。我々は物質的な豊かさを手に入れる代わりに、休む暇もなく急かされ、振り回され、 日々の生活のなかで、自身の存在価値を見失うことも多い。自身もその例外ではな い。立ち止まって自分と向き合い、内側に意識を向け、掘り下げた先にある強い光 を見つけたい。私はこうした思いを作品に反映する。抽象表現によって無意識下に抑圧されてい る精神を解き放ち、同時にミニマリズムに基づき黒一色で心象風景をプロットす る。そこから内へ内へ意識を向け、自分自身を掘り下げが如く、何度も黒を削りと るという新たな技法用いて、白を浮かび上がらせる。これは絵画表現における書く ことからの脱却でもある。そして、この白は紙の白とは異なり、私の美意識(緩急や直線・曲線といった相反 する二面性の共存)を反映したコンポジションの結果生まれる白以上の白であり、 私が追及する強い光の正体である。