Tear Beam 04

コンセプト

韓国出身で日本在住のNamu Choi。2007年に日本に来て約４年間、沖縄に居ました。沖縄には太平洋戦争の歴史があり、多くの命が失われました。死のエネルギーは、強い生命のエネルギーと常に共存し、独自の治癒力を持っていました。この2つの共存する自然のエネルギーが、彼女の作品の重要なモチーフとなりました。その後大都市の東京に住むことになり、彼女の作品のコンセプトは変化します。自然より自分自身の感情をもっと表現するようになりました。 孤立感と不安を抱えた移住者、そして２児の母という目線からしばらく「家」をテーマにすることになりました。 浮遊する家、流れる家は、根を張り、枝を伸ばしますが、孤立した空虚な空間に取り残されます。インターネットやソーシャルメディアは、人と人との会話を豊かにすると同時に、お互いの間に大きな隔たりをもたらします。彼女は作品を通して、この世で最も重要で基本的な価値観がどこにあるのか、その答えを探し続けていました。新型コロナによる世界的なパンデミックの間、今まで描いていた「孤立感と不安」という感情が特別ではなく、たくさんの人々が感じることになったことで、絵も変化することになりました。「ポジティブ」な心、自分の内面と周りをよく覗くことの大事さを表現するようになりました。自然の要素ー木、山、水、火、大地、人間ーなどを画面に取り入れ、人の感情を表現する「心理的な風景」は彼女の作品を説明する重要なポイントです。その中で「GREEN」は最近の大きなテーマであり、植物が象徴する自然のエネルギーを取り入れて「ネガティヴな感情と環境をポジティブに変える努力と意志」を描き続けています。”平穏な自然を作るのは多くの生命の激しさである。” 彼女は植物の育つ力を「緑の火」と名づけて画面に火をつけます。全てを焼き払うことではなく、緑の火は新しい生命と心を育てるエネルギーになります。「GREEN」シリーズは火、滝と波などの色んな形になりながらしばらく続きます。