空想することが趣味といってもよいくらい好きである。空想はまるで魔法の薬のようで、現実から逃げる手段だと思っていたが(今も思っているが)、絵の具を混ぜることはまるで、現実と空想を調和させるようで心地よい。本作で描くのは、くだいた現実とあらわれた空想の世界である。現実はいつも正しいような顔をし確固たるもののようであるが、実は曖昧でとんかちで簡単にくずれた。あらわれた世界は幼い頃の憧れである。空想の世界ではあるが見たことがあるようなどこか懐かしい気もする。舞い散る花びらはどちらの世界のものか。どちらも私が見ている世界で、現実と空想の境界はやはり曖昧だ。憧れを思い描き自分らしくいたいと願う私の世界に違いない。