ゴールドやホワイトのラインを使い、抽象的に感情を表現しています。背景は風景画です。ラインが風景と調和することで、素晴らしい景色を見たときの感情の高揚や静寂を表現しています。私はトルコを旅して、息を呑む美しさに足を止めることが何度もありました。私は難病を患っており、長期での旅行は最後になるかも、と思い訪れたのがトルコでした。進行する病は奇しくも私の感性を磨き、見るもの全てとても美しく感じられたことが印象に残っています。ホテルから少し歩くと、静寂な空間の中で碧く澄んだ海が広がり、まるで時間が止まったかのような穏やかさを感じました。大きな不安を抱えた私の目に映ったトルコの景色は、とても穏やかで安定したものでした。悩みがとてもちっぽけなものに思え、心が柔らかくなる感覚がありました。自然の美しさに触れることで、心が豊かに満たされ、新たな感性が目覚める。そんな精神の安定を繊細なラインで表現し、心が柔らかくなる感覚を、色で表現しました。作品を眺めている瞬間、日常の喧騒から解放され、内なる平穏が訪れるよう思いを込めて。