この世界は曼荼羅であるというのは仏教の世界観であるが、それは世界の解釈の切り口としては非常に興味深い。世界は宇宙を含めて分けて考える事はできない。周辺の自然界を見るだけで、そこに森羅万象の有り様を垣間見ることができる。ミクロの中にマクロが、マクロの中にミクロがある。大宇宙の知的な精神性を人は、この世の全てに発見できる。人は善悪や美醜の感性を持つ。それは人が他の生物と異なる特別な存在であるという一つの証左でもある。人の持つ精神性は神の精神の縮図をここの中に持っている。この作品は身近な自然の豊穣な時を色彩豊かに描いた。秋色に染まる庭園の喜びを曼荼羅的構成で半抽象的にデザインしている。この絵の置かれた空間には、そこにいるものに活力と詩的情緒を与える。