山奥の秘境に多くの人が憧れ、楽に行こうとする。そしてルートが整備される。するとそこは秘境ではなくなるが魅力ある観光地となる。上高地もその一つである。マイカーをパーキングに置いて、専用のEバスで現地へ向かう。排ガス汚染から自然環境は保護されている。都会人が身軽に別天地を味わえる為の手立ては色々組まれている。さて上高地へ着いてすぐ歩くことになる遊歩道を少し行くと木々の間を通して、遠く氷河の流れ下った山肌を眺める場所がある。手前の梓川は煌々と流れ、時に周囲の木々を映し込み、美しく完璧な清流として下っていく。此処には無数のビュースポットがある。だが上高地のどの場所でも味わえるのは清浄な空気である。私はこの空気を描きたいと思った。