このピンクの作品のシリーズは、フツーに始まりました。意図せず、勝手に作品が出現してしまったのです。もっと手を加えるつもりでいたのに、朝起きて作品を見たらもう完成していた。40年近い絵の人生の中で数回しかないことだが、時々あることだ。 以前どこかで、女性がピンク色に惹かれるのは「狩猟採集時代の記憶」によると読んだことがある。主に採集民だった女性たちは、自分や家族を養うために、緑の木々の中にある花や果実を目で探していたのだそうです。ピンクは花や果実の色だから」という説があります。その遠い記憶がこの色を選ばせたのだろうか。 ピンクは果物の色であると同時に、皮膚や肉、内臓の色でもある。この色と日々向き合っていると、否応なしに「身体」と「温度」を意識するようになる。温かみのあるヒダと脈打つような陰影。ミクロでもマクロでも膨張・収縮し、包み込み、放出する。人生の色」に圧倒され、翻弄されながら、その魅力に吸い込まれていく体験は、苦しくもあり、実に刺激的です。 この「色」が与えてくれるさまざまなイメージや体験を、長年取り組んできた抽象の舞台でより豊かに形にしながら、絵画ならではの空間を創っていきたいと思います。 この作品は薄いポリエステル生地にアクリル絵具と顔料、時には日本で古くから使われている鉱物絵具で描かれています。少し透け感のある生地に、水溶性の絵の具を薄く何度も何度も重ねていくことで、徐々に作品が出来上がっていきます。ポリエステルの布に描くことで、独特の質感を持つ絵画が生まれます。私が20年以上前からポリエステルクロスに絵を描いているのは、その独特の質感がとても好きだからです。それは、私が子供の頃から憧れていた美しい日本の砂糖菓子を思い出させるからかもしれません。 Translated with www.DeepL.com