自然の事象、風景は絶えず呼吸している。そのエネルギーを感じとって、色彩、線、リズムを内側にとりこみ、主に墨を中心に(墨は内的な精神性を表現できる大変優れた素材である)、作品は和紙に顔料とアクリル絵具の藍色を用いている。眼に見える事物は時間、季節、空間やそれを眺める私たちの精神のあり方で一時の夕刻の光の輝きのように刻々と変化している。一つとして同じ風景、同じ物質はあり得ない。絵画で表現できることは存在するあらゆる事象の向こうに真実の姿をキャッチしようとする試みに他ならない。抽象作品は解らないと思っている人にも感覚的に理解していただければ幸いです。見る人がどこかにしまい忘れた心の風景を感じてくださることを祈ります。