落書きのコラージュを下地にした墨とインクのドローイング。
コラージュの紙はニスで貼り付けて一度乾燥させてから剥がしており、所々部分的に破けています。そのため張り付いている落書きの濃さが不揃いで、遠くから見た時に奥行きを感じ、線が周囲に浮き上がっている様に見えます。
作品のイメージ元は路地のグラフィティステッカーで、剥がした汚れやシールの重なりの上から強引にペイントされている様が荒々しくも魅力的に映ったのがきっかけです。作品のニスの層は外気に晒された経年の汚れをイメージしています。
また、中央に描かれたモチーフは監視カメラのレンズを眼球に見立て、人目を忍んでグラフィティに興じスリルに溺れる若者とそれを監視する社会を現しています。