「紫陽花と雨と飴」
日本の四季を着物の女の子の装いを通じて表現する「着物の女の子シリーズ」です。木製パネルにアクリルガッシュで着彩。紫陽花と雨と飴をテーマにした着物の女の子です。髪に飾った紫陽花は雨の多い6月に彩を添える植物です。左に飾った星のような形をした花は桔梗です。日本の古典である万葉集にも登場するほど歴史をもち、親しみを持たれている花です。また、桔梗と一緒に小さなバタフライのように髪に留まっているのは、つゆ草です。つゆ草も歴史のある花で、花びらのしぼり汁は着物の模様を描く際の下絵の絵具となります。雨や曇り空の多い季節の中にも、たくさんの喜びがあり、次の季節に向けての準備が着々となされているのです。四季の移り変わりを愛でる表現の多さは、日本特有のものかもしれません。着物やかんざしに、季節の恩恵や喜びをたくさん詰め込みました。着物の女の子は、そんなことを気にするよりも、飴が食べたいだけかもしれませんね。でもそれでいいのです。大人たちは去りゆくものを知っているからこそ、季節を楽しみながらも少しの寂しさを感じる事もあります。しかし子どもたちは、今一瞬を、当然のように愛して喜びます。それでいいのだと、私は思います。