Anemone Ranbu

コンセプト

私が作品で表現するのは 花が持つ可憐さではなく、巧みな罠で生物たちを利用し種を広げていくさまや、他の植物の成長を妨害する物質を出したり、更には養分さえも吸収し生き抜こうとする大胆さ（BOLD）や力強さだ。このような植物達に私は敬意と畏怖を抱きつつも、この圧倒的エネルギーを私の作品を通して人々に体感して欲しいと心から思った。だからこそ、私が描く花々には少し毒気がある。代表作である 花と花瓶のシリーズでは、あえて大自然で咲く花を描かない事で 花瓶に納められ、僅か1週間という時間の中でも花々が必死に水分を吸収し太陽の光を追い成長していくより力強く感じられる瞬間を表現したかった。既にちょん切られているのにもかからわらず毎日光を感じると咲き、暗くなると閉じる生命力の塊のような花。喜びや幸せは長い人生においてフラッシュの光が当たる瞬間ぐらいしかない、それ以外は常に闇の中にいるみたいに感じるものだ。背景が闇なのはそれを反映させることによって花にフラッシュの光があたり最も鮮やかにブリリアントなさまを表現する為である。そして、私には見える蒸気のような粒子、”気”のようなものを放つ植物の姿を線や点描で描く事で永遠にその力強さに溢れる姿を留めようと思った。そうする事で切花になった花たちさえも”種”を残すという目的の手助けが出来るのではないかと思っている。我々人間が破壊を続けている<自然>という相手は、喋らないからと言っても、その生態は大人しい訳ではなく実はとても知性を持っていて、私達と何ら変わらずこの時代を生き抜こうとする素晴らしい者達である。作品を通して彼らへの敬意を畏怖を感じつつ共存する素晴らしさに一人でも多くの人に気付いて貰い、私のアートが行動を起こすきっかけとなる事を願っている。その行動とは人間がもっと自然を敬い、花々や木々を大切し、絶滅の危機から救う事である。