紫陽花は他の花と違い、複数の色を持っています。咲き始めは薄緑色ですが、青、ピンク、赤、紫、白など様々な美しい色に変化します。紫陽花の色を特定するには、土壌の環境や太陽光の明るさなどが挙げられます。私たち人間も、ある意味では紫陽花の特徴に似ています。私たちは皆、創造的で個性的な様々な色を持って存在していますが、置かれている環境や状況によって、その色は美しくカラフルなものになったり、陰鬱で暗いものになったりします。現代では、自分の努力や才能だけでは、夢を実現することは難しいと言われています。多くの場合、自分の色は、環境や状況に比例して、明るくまぶしいとか、陰鬱で暗いといったように割り当てられると言われています。この作品では、たとえ今いる現実が暗い環境や状況であっても、紫陽花のように自分だけの色を失わず、最後まで持ち続けてほしいという思いを込めています。この作品の最大の特徴は、石膏で花びらや葉を造形することで、生命力や立体感を表現しようとしたことです。また、花びらは同系色と反対色の組み合わせで表現されていますが、違和感なく調和されており、葉っぱも緑を基調とした色の組み合わせで不規則な自由さで調和されています。この作品のもうひとつの特徴は、対象物をリアルに描写する以上に、対象物の特徴をよりカラフルに、より華麗に、より立体的にしていることです。夢とは、現実からの期待ではなく、理想であるがゆえに現実を超えたものであり、この作品もまた、認識された対象の限界ではなく、超えた理想を提示し、それを色で表現しています。