この作品の最大の特徴は、花を黒、グレー、白の3色で表現し、それよりも強い赤、金、銅の3色で調和を図っていることです。このように色を抑制するのではなく、満開の花の陰影や形、特徴をより描き込んだ作品です。記憶は過去のものなので、現在よりも鮮明ではなく、色もおぼろげで淡いものになっています。記憶の中には、時間が経てば忘れられると思っていたのに、忘れられない初恋や別れの悲しみがあったり、先に去っていった人のことを考えようとしても薄れていくものがあったり、喜びや後悔があったりします。記憶は私たちに感動をもたらし、考えさせ、反省と成熟の機会を与えてくれます。この作品は、様々な記憶の中から良いものだけが美しい花のように残ることを願って表現しています。