「Graviternal」シリーズは重力をテーマにしています。重力は時間や空間など、人の認識を歪ませてしまい、また最近の研究では、次元と次元の間を行き来しているとも言われています。私はそうした存在と存在の間にあるもの「間(ま)」について思考しながら制作しています。日本語では距離や空間、時間やコミュニケーションなど様々な意味合いを含む特異な言葉です。作品はパネルに独自のシリカメディウム(ガラスの粉に塗料)を押し当てるようにして擦り付ける方法で描かれています。ライティングによってメディウムの煌めきや影の落ち方が変化し、画面の表情を自在に変えることができます。また押し当てる力の加減によって現れるイメージに変化が生まれるため、パネルとの間の距離感をコントロールするという意味で、制作方法としての「間(ま)」を表してもいます。