再発の可能性もありますが、再発しない限り二度と見ることのできない体験を見逃さないよう、一つひとつの目の記憶をキャンバスに記録していきたいと思っています。一瞬、一瞬を逃さずに、その時々の記憶を捉えていく。
最初は、大きな恐怖、心配、不安から始まったが、出来るだけ観察しようとしたのは、一般的な範疇で一生に一度も肉眼で見ることのない危機とチャンスだったからで、約半年間向き合い続けてきたことになる。
明るい場所で電気を消して暗闇に入ると、カメラのシャッターが破裂したように目がチカチカする。逆に明るい空間に入って壁を見ると、目の中の赤い血管が踊るようにゆらぐ。
病気が再発しない限り二度と出会えないような体験を、ずっと目に焼き付けておきたいと思い、キャンバスに記録したのです。