普段撮りためている写真の景色の一部や、私が絵を描くためのウォーミングアップとして10年ほど前から続けている落書きのようなドローイングなどひとつではそれ以上になり得なかったかけらを集めコラージュするよう画面に描き残すことで過去のいつかの時間の堆積によって立ち現れる新しい景色を鑑賞者と共有したいと思います。「Movement」シリーズ
過去のいつかの時間に描き残した線のドローイングを重ね合わせることで成り立つ抽象画です。線が重なり合うことでかたちが現れ、そこに色彩が加わることで鑑賞者の記憶や経験に結びついた新たな景色や温度が生まれることを期待します。画面上の線はそれぞれが過去に存在していたひとつの時間であり「Movement」シリーズは絵画の中に時間のかけらを留めたものであるとも言えます。作品を通して絵も日常も突然現れるのではなく少しずつ時間をかけてかたちになっていくのだということを示したいと思います。