この作品は、花慶の「枚方落雁」をモチーフに、横浜市金沢区の平潟湾と、そこに生息する鳥の群れを描いたものです。飛んでいる鳥の形や軌跡、波打つ海面を、絵具のテクスチャーや単純化した幾何学図形に置き換えて画面に配置しています。また、鳥の群れを取り巻く空間である平潟湾の画面には、異なる時間を描いています。一つの視点、一つの状況に縛られるのではなく、複数の視点、複数の場所のシーンが画面の中で混ざり合い、分解された要素が再び一つの画面に統合されることで、「平潟 楽観」のイメージが抽象的に描かれています。西洋絵画の伝統をベースに、近代以降の絵画論を参考にしながら、現代の視覚体験をいかに絵画に反映させるかが私の大きなテーマです。