2000年に制作された初期作品です。初公開販売となります。赤をテーマにした小品です。絵画の特つ特性「重層性」に興味があった藤本は、1999年以降アクリル絵具の積層と研削という手法で制作を始めます。その後3年間ぐらい、アイデアが湧いてくるのに任せながら、抽象または半抽象的な絵画の世界を探究していきました。画面スタイルをロジカルにまとめていくのではなく、その都度ひらめくアイデアや即興的なタッチを活かすことに重きを置いた制作展開でした。この時期に制作した作品群の多くは、活動初期のチャレンジとして役割を終えたと判断し、作者によってすでに廃棄されています。ただ、一部の作品は現存保管中です。今回TRiCERA ARTには本作の他、同じ2000年に制作された「小品 14」「小品 15」も出品しています。パネル仕様の旧作品を再公開するにあたり、本作に限らずどの作品も清掃後、両面張り仕様にしてあります。裏面もパネル貼り後アクリル絵具で塗装して作品耐久性を上げています。裏面にあるスリットはパネル内の通気を兼ねたダクトですが、設置の際、ピンやビス類を引っ掛けられます。作品の画面、側面は平滑なマチエールなので作品をふきん等で拭き掃除が可能です。 本作を制作していたようなチャレンジ期間を経て、その後藤本は技法的には一貫しつつも、具象的なものから非具象的なものまでいくつかのシリーズを展開しました。そして今も、絵画の持つ豊かな特性である「重層的なマジック」を活用して、絵具によってしか存在し得ない光景を探究しています。