本作は永遠トリオシリーズの4作目でありますが、公園景シリーズの1点でもあります。「永遠トリオ」とは、「3つの存在」が点在している風景作品シリーズのタイトルです。本作での「3つの存在=トリオ」は、公園内にある腰掛けのような3つの遊具です。(シリーズの他作品では必ずしも人であるとは限りません。)本作を制作していた2000年代終わりから2010年代の初め頃、風景画のモチーフにしばしば公園を用いていました。本作では東京都内のとある公園への取材を基に制作しました。他の用事で東京に行った際、街中を歩いていてたまたま通りがかった小さな公園です。大きなビリヤードのように3色の球形の遊具が佇んでいる様は、モランディの静物画のようでした。印象に残ったので撮影、それを基にデッサンを起こして制作しました。作品には導きたい結論もありません。全ては鑑賞者の想像力に委ねられます。本作に限らず、藤本の作品にはいろんな光景を描いた風景画がありますが、それを見た鑑賞者ご自身の思いやひらめきを乗せる「乗り物」のように機能してくれると嬉しいです。どのようにドライブするか。どこへ向かうのかは、鑑賞者のご自由です。時間や空間、現実世界に存在するさまざまな障壁を超えて、心の中で好きな小旅行をしてもらえると嬉しいです。作品は、他の藤本作品同様に、アクリル絵具の積層とサンドペーパーによる研削で構成した技法で制作されています。固有の平滑なマチエールを持ち、独特の発色があります。支持体の合板パネルは表裏両面張りのものを、さらに側面も含め全面に地塗りしてあり、湿度変化に対する耐久性を上げています。裏面に紐付きなので、設置の際にピンやフックがかけられます。画面や側面は拭き掃除も可能で、作品コンディションのキープもやりやすい方だと思います。絵画の特性「重層的なマジック」を活かしきること。 支持体上に絵具によってのみ存在し得うる光景。 自分の欲求に沿った技法を1999年に見つけ、以降その技法をツールにして絵画の可能性を追求しています。