私の作品は「Chill」をテーマとし、現実逃避し自身と向き合いクールダウンするための装置としての役割を持っています。作品は実際の風景をモチーフに描かれており第三者が感じた風景を「染め」というフラットで情報量の少ない技法で描く事で、匿名性が高く既視感のある日常の側に潜む気持ち良い瞬間に繋がるよう意図的に描かれています。作品に描かれた点は蝋を用いてフリーハンドで描かれた痕跡による図柄であり、単純な行為の蓄積から製作時の心地良い集中した時間の経過を感じるよう意図し点の大小の変化により感情の振れ幅と視覚的な効果を強く感じるようにしています。作品名は座標になっていてその場所から見える風景をモチーフとし、少しの違和感を加え日常の延長線上にある問題を含ませています。あらゆる物事はグラデーションのようになっていて物事は人それぞれの受け止め方一つで違う物語が生まれます。些細な日常風景の中から個々人が持つ普遍的な心地よい感覚とその奥に潜む問題をどんな立ち位置で向き合うのか問い続けたいと考えています。