月乃カエルのアート作品は、オリジナルのデジタルイラストをカットし、何層にも積み上げ、更に透明樹脂でコーティングした半立体作品です。イラストによる階層が作品に複雑な影を落とし、更にその上を透明樹脂等を使ってネイルアートのような装飾性を加えることで、この世界を覆う複雑な階層を表現しています。この世界は自身が見える世界以上の「見えない世界」と繋がっていて、その世界を感じることが、分断や対立を回避すると
感じています。透明樹脂は、「そこにあるが見えない階層」を表現する上で、作品中に欠かせない素材となっています。この作品は、二人の男女が建物の前に佇んでいる光景を描いています。二人の姿は周囲の階層よりも奥に位置しており、そこに存在しているようにも、かつて存在していたかのようにも、来るべき未来に存在することを予言するかのようにも見えます。人間の存在することの曖昧さと、確実に存在していたことの記憶が混在するこの世界を表現しています。