「説明」空 山 孤独 夜。詩人杜甫による「夜」に出てくる「空山獨夜」をアレンジしたものになります。獨の字は、孤の爪と獨のけものへんを混ぜ合わせた草書になっています。大胆なかすれが、寂しさやわびしさをさらに助長させます。「夜」全文(意訳)
露は降り天高く,秋の江水は澄んでいる。山で夜る独りでいると侘びしさが募る。水面には一個の帆掛け舟が宿し,燈火が疎らな光を自分自体に照らす。陸の方ではまだ新月が懸かって杵の音が鳴っている。私は病躯ながら二度も南方の菊の花に出会った。それにしても,北方の故郷からの便りは少しも来ない。雁もつれないもんである。歩廊の当りを杖によりながら,牛斗の星を眺めると,銀漢がずぅーとひきへている。定めし遙かに長安の丹鳳城にまで続いているのであろう。