ころころと動き出す分子モデルの愛らしさや、その不思議さを大切に、微細な世界のファンタジーを描いた「kune」。揺らめくように動く分子モデルに、ひとが登ったり掴まったりして、まるで分子の一部のように振る舞います。
この世のあらゆるものや人間を含めた生き物の身体は、紛れもなく分子の働きのおかげで成り立っています。偶然にも「わたし」という生命を形作り、その一部になってくれた分子に親しみをこめて描くグラフィック。エスペラント語で「一緒に」を意味するkune(クーネ)というタイトルからも、決して肉眼では存在を確かめられないからこそ思いをつよく寄せられる、フレンドシップが感じられます。衆生の営みをテーマとした連作「Livng Things」において、生命やそれをめぐる仕組みの不思議を内包した本作。シリーズの文脈を広げる一枚です。
今回この絵柄を、キャンバスプリントという手法で製作しました。これはすでに釘打ちされた麻100%のキャンバス生地に、UVインクジェットプリントを施して定着させる方法でつくられます。プリントされたものである利点として、本体が約400グラムと軽量であることが挙げられます。その特性が、お部屋の壁にだるまピンなどの画鋲や釘で引っ掛けるだけですぐに飾ることができる手軽さを生んでいます。
なお、キャンバス裏面にはオープンエディション(限定部数を設けない作品)である旨の記載と、タイトル、製作年、直筆の作家サインが記されています。