太古より人は獣と共生してきた。獣を恐れ、一方で獣を使役する術を身につけて生活を豊かにすることが、人類社会の成長につながった。世界中の多くの宗教において、獣は時には神として、またある時には畏怖すべき怪物として登場する。今回のテーマである四神と麒麟は、中国を発祥とし、人類の守り神として永く人々から慕われてきた神獣である。四神とは、東西南北の四方を守る朱雀・白虎・青龍・玄武を指す。さらに、その中央に麒麟が加わり、五霊と呼ばれるようになった。これまでの作品では多くの動物と草花との融合を表現してきたが、今回は神の獣である五霊を独自の解釈で描き、芸術として昇華させることに挑戦している。