無形の抽象的な思考や漠然とした感情などが、どのようにして具体的になり、他者に認識され、共有され、可視化されていくのか、そしてその抽象的なものから?具体的に変化していく過程に興味を持ちました。この作品は、石膏を使って手紙を書く過程を映像作品として記録したものです。私にとって言葉とは器の形であり、言葉を作るという行為は、もやもやとした気持ちや考えを器の形に当てはめることです。物を書く過程が抽象化と具体化の過程であるとすれば、石膏を素材として使うことは 素材の特性(もともと形のない液体から形に合わせて排出され、時間が経つと固まる)に基づいて、その過渡的な状態を認知的、物理的な視点から探っています。髪の毛を切ったときに、手紙は一つのものなのに、切り離されて別のもののように感じられたのはとても不思議な体験でした 切った髪の毛に比喩として感情的な手紙を書いたのは、人間同士のパートナーの関係やすべてを見渡すことにはつながらないだろうと考えてのことでした。