”美しさ”をテーマとして制作した作品シリーズのうちの1点です。人が何かを見て美しいと思うことは、普遍的な情緒です。しかし現代はそのような「ただ美しく感じる」、きらめくような断片的な瞬間を見過ごしてしまうことが多いほど、わたしたちは忙しくなってしまいました。作品を見て、「ただ美しい」そう思う瞬間がわたしたちの人生で少しでも増えれば、多くの人がもっとゆたかな気持ちで生きていくことができるでしょう。ユリの花はわたしのなかで、美しさの象徴です。その花びらが光をうけたようすを表現するのに、銅版画のメゾチントという技法を使っています。深い黒の色と、それと対比したユリの花の繊細な色を感じていただければと思います。