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EXHIBITION
Johnna Slaby 個展 The In-Between
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9s Galleryでは、2024/1/12(金)から 2024/1/20(土)まで、蟷螂子個展「27」展を開催いたします。
「強い女性」を描き続けてきた蟷螂子。今回の個展「27」は、社会に出て数年が経ち、芯のある強さを獲得する過程を生きる「27歳の女性」がメインテーマ。
TRiCERA編集部では、蟷螂子へのインタビューを実施し、今回発表する新作のテーマや、蟷螂子の考える「強さ」について迫ります。
『美人画の再構築』に挑む現代アーティスト。女性を通じて人間の生命力を描き出す。
2021年より作家活動を開始する。その後わずか2年で台湾・釜山など海外アートフェアに多数出展し、人気を博した。2023年8月には大丸・松坂屋が経営するギャラリーGINZA SIX Artglorieux Galleryにて、草間彌生らとともにグループ展に参加するなど、現代アート界からの期待も高い。
さらに、同月TRiCERAで実施した個展「Do girls dream of Electric City?」では出品作7点、12月開催の「Christmas Miracle」展では2点がそれぞれ全点完売。
ー今回の個展「27」は、TRiCERAでは3回目ですね。2023年8月に個展「Do the girls dream of electric city?」、12月にグループ展「Christmas Miracle」を開催し、いずれでも作品完売を達成しています。今回、「27歳の女性」をテーマに据えたのはなぜでしょうか?
今回の展示テーマを考える中で、「強い女性」を描くという自身のテーマを掘り下げたいという思いが強くありました。
自分が描きたい「強い女性」は、決して生まれた時から強い存在ではありません。
痛みや悲しみも秘めていて、けれど辛い経験を経たからこそ身につくような「強さ」をイメージしています。
なにか悲しいことが起きても、淡々と日常を生きていく、というような。
そういう「強さ」が身についてくるのは人生のどの段階だろう、と考えて自分や周りの人を振り返ってみると、まさしく「27歳」だと思い当たったんです。
また、今までよりも少し年齢層の高い女性を描きたい、という思いも前々からあって。そういう意味でも、「27」は今の自分にぴったりのテーマでした。
ー展覧会のメインビジュアルである2人の女性像は、《微熱》《眩暈》というタイトルが印象的です。
この作品は、今回出品する作品の中では一番最初に手掛けました。ここでテーマにしたのは、多少の不調や辛いことには動じずにやるべきことはやるという「強さ」ですね。《微熱》、《眩暈》というタイトルは、そういう不調をイメージして付けました。ちょっとしんどいくらいなら、表には出さずに背筋を伸ばして立ち続けるっていう。
何かがあっても淡々と日常を維持していくのって、いろんな痛みを乗り越えてきたからできることだと思うんです。もちろん、本当にしんどい時は休むべきなんですけど。
《微熱》
ーモスグリーンの背景も穏やかな色合いですね。
この色味にも、自分の思う「強さ」像が反映されています。少し彩度が低い、暗いか明るいかも曖昧な色なので、強くなる過程でいろいろな経験が混じり合った、というイメージで選びました。
《Heartbeat #1》
ー《Heartbeat》シリーズは一転して鮮やかなレッドとピンクですね。
《微熱》と《眩暈》では、外面に現れる、つまり第三者的な視線から見た「強さ」を描いていますが、《Heartbeat》では内面の感情を描き出そうとしています。外から見て「あの人、淡々としてるな」って思っていても、実際は内に動揺とか不安を秘めているケースは多いんじゃないかと思っていて。
ー女性の影がギザギザしているのが印象に残ります。
このシリーズでは、影をわざと解像度が荒いふうに描いて、デジタル画面上でエラーやバグが起きた時のような、「なにか不具合が起きた」という雰囲気を表現していました。
また、《Heartbeat #2》と《#3》では、黒い輪郭線から少しずらしてレッドを重ねることで、鼓動のような揺らぎを描いています。
右から《Heartbeat #2,3,4》
じゃあ、顔にレッドがかかっていない《#4》では動揺が収まっているのかというと、そういうわけでもなくて。淡々として見えるけれど、影はギザギザのまま。《#1》から《#3》までの胸騒ぎを全部押さえ込んで、澄ました顔を取り繕う。これも自分が思う「強い女性」の一面です。
ー8月個展で展示された、六本木の夜景を背景にした《R City》と同様、《in Tokyo》も都市が描かれた作品ですね。東京駅、コンビニ、東京メトロが描かれていますが、なぜこの場所を選ばれたのでしょうか?
27歳というテーマを考えた時に、自分の中で真っ先に浮かんできたのは「都内で働いている27歳女性」でした。その都内の代表的な場所として、多くのひとが行き交う東京駅をまずメイン作品にしています。
個人的に、東京駅は都市の空虚さを象徴する場所だと思っています。日中はたくさんの人が集まって働いているけれど、そこに住んでいる人はいない。
だから夜になればみんな帰ってしまって、今度は誰もいなくなる……
人間がある種「東京駅」のパーツの一部で、日中はパーツが集まって「東京駅」という装置として作動するというイメージがあります。
ー《in Tokyo #1》では、女性のバストアップが駅舎の前の中央分離帯から出現していますね。
《in Tokyo #1》
この作品では、「現実にあり得ない風景を描く」という挑戦をしました。女性が東京という都市の1パーツになっているということを表現できないか試行錯誤した結果です。そんな中でも淡々と生きる女性の表情とのコントラストも描き出したくて。
ちなみに、彼女が埋まっているのか、生えてきているのか、そこは鑑賞者のイメージにお任せします。
ー空の見える《#1》に比べ、《#2》《#3》は背景にみっちりと建物が描き込まれています。
《in Tokyo #2》
《#2》《#3》では、都市の狭さや、様々な立場の人がひしめき合う感覚を表現したかったので、ぎゅっと詰まった構図にしました。「東京駅」というひとつの場所ではなく、コンビニや地下鉄の駅など、ある程度都会ならどこにでもある風景をモチーフに選ぶことで、普遍的な人間の姿を描きたいという理由もあります。
ー《in Tokyo》シリーズは、作品側面まで細かく描き込まれていますね。
《in Tokyo #3》
そこはこだわったポイントです。側面まで描くことで絵画に描かれた風景は広がりますし、実際に絵画を見る経験を豊かにできるのではないかと思っていて。側面がそもそも存在しないデジタルではできないことですし、そういう「デジタルへの抵抗」という意味では昨年8月の「Do girls dream of electric city?」から通底したテーマが自分の中にありますね。
ー以前はデジタルを中心に制作されていましたが、12月グループ展の作品から、完全にハンドペインティングに移行されていますよね。制作の上で大きな違いはありましたか?
両者の一番大きな違いは、工程数の多さだと感じます。
デジタルは基本ソフト上で絵を描いたら、すぐ印刷所に入稿してキャンバスにプリントしてもらう、という感じで、作品が出来上がるまでの時間が比較的短いんですね。
一方で、ハンドペインティングは木枠を組むところからスタートし、キャンバスを張る、下地を何回も重ねる……というように、工程が多い分時間もかかります。ですが、いざ絵を描く段階までに作業がある分、その時間で色や構図のアイディアが沸いたりもして。
個人的には、ハンドペインティングでは作品を描く前の「助走時間」ができる点が嬉しいですね。その助走を生かして、今後も人間が持つ「強さ」を描き出したいです。
著者
TRiCERA ART
9s Galleryでは、2024/1/12(金)から 2024/1/20(土)まで、蟷螂子個展「27」展を開催いたします。
「強い女性」を描き続けてきた蟷螂子。今回の個展「27」は、社会に出て数年が経ち、芯のある強さを獲得する過程を生きる「27歳の女性」がメインテーマ。
TRiCERA編集部では、蟷螂子へのインタビューを実施し、今回発表する新作のテーマや、蟷螂子の考える「強さ」について迫ります。
『美人画の再構築』に挑む現代アーティスト。女性を通じて人間の生命力を描き出す。
2021年より作家活動を開始する。その後わずか2年で台湾・釜山など海外アートフェアに多数出展し、人気を博した。2023年8月には大丸・松坂屋が経営するギャラリーGINZA SIX Artglorieux Galleryにて、草間彌生らとともにグループ展に参加するなど、現代アート界からの期待も高い。
さらに、同月TRiCERAで実施した個展「Do girls dream of Electric City?」では出品作7点、12月開催の「Christmas Miracle」展では2点がそれぞれ全点完売。
ー今回の個展「27」は、TRiCERAでは3回目ですね。2023年8月に個展「Do the girls dream of electric city?」、12月にグループ展「Christmas Miracle」を開催し、いずれでも作品完売を達成しています。今回、「27歳の女性」をテーマに据えたのはなぜでしょうか?
今回の展示テーマを考える中で、「強い女性」を描くという自身のテーマを掘り下げたいという思いが強くありました。
自分が描きたい「強い女性」は、決して生まれた時から強い存在ではありません。
痛みや悲しみも秘めていて、けれど辛い経験を経たからこそ身につくような「強さ」をイメージしています。
なにか悲しいことが起きても、淡々と日常を生きていく、というような。
そういう「強さ」が身についてくるのは人生のどの段階だろう、と考えて自分や周りの人を振り返ってみると、まさしく「27歳」だと思い当たったんです。
また、今までよりも少し年齢層の高い女性を描きたい、という思いも前々からあって。そういう意味でも、「27」は今の自分にぴったりのテーマでした。
ー展覧会のメインビジュアルである2人の女性像は、《微熱》《眩暈》というタイトルが印象的です。
この作品は、今回出品する作品の中では一番最初に手掛けました。ここでテーマにしたのは、多少の不調や辛いことには動じずにやるべきことはやるという「強さ」ですね。《微熱》、《眩暈》というタイトルは、そういう不調をイメージして付けました。ちょっとしんどいくらいなら、表には出さずに背筋を伸ばして立ち続けるっていう。
何かがあっても淡々と日常を維持していくのって、いろんな痛みを乗り越えてきたからできることだと思うんです。もちろん、本当にしんどい時は休むべきなんですけど。
《微熱》
ーモスグリーンの背景も穏やかな色合いですね。
この色味にも、自分の思う「強さ」像が反映されています。少し彩度が低い、暗いか明るいかも曖昧な色なので、強くなる過程でいろいろな経験が混じり合った、というイメージで選びました。
《Heartbeat #1》
ー《Heartbeat》シリーズは一転して鮮やかなレッドとピンクですね。
《微熱》と《眩暈》では、外面に現れる、つまり第三者的な視線から見た「強さ」を描いていますが、《Heartbeat》では内面の感情を描き出そうとしています。外から見て「あの人、淡々としてるな」って思っていても、実際は内に動揺とか不安を秘めているケースは多いんじゃないかと思っていて。
ー女性の影がギザギザしているのが印象に残ります。
このシリーズでは、影をわざと解像度が荒いふうに描いて、デジタル画面上でエラーやバグが起きた時のような、「なにか不具合が起きた」という雰囲気を表現していました。
また、《Heartbeat #2》と《#3》では、黒い輪郭線から少しずらしてレッドを重ねることで、鼓動のような揺らぎを描いています。
右から《Heartbeat #2,3,4》
じゃあ、顔にレッドがかかっていない《#4》では動揺が収まっているのかというと、そういうわけでもなくて。淡々として見えるけれど、影はギザギザのまま。《#1》から《#3》までの胸騒ぎを全部押さえ込んで、澄ました顔を取り繕う。これも自分が思う「強い女性」の一面です。
ー8月個展で展示された、六本木の夜景を背景にした《R City》と同様、《in Tokyo》も都市が描かれた作品ですね。東京駅、コンビニ、東京メトロが描かれていますが、なぜこの場所を選ばれたのでしょうか?
27歳というテーマを考えた時に、自分の中で真っ先に浮かんできたのは「都内で働いている27歳女性」でした。その都内の代表的な場所として、多くのひとが行き交う東京駅をまずメイン作品にしています。
個人的に、東京駅は都市の空虚さを象徴する場所だと思っています。日中はたくさんの人が集まって働いているけれど、そこに住んでいる人はいない。
だから夜になればみんな帰ってしまって、今度は誰もいなくなる……
人間がある種「東京駅」のパーツの一部で、日中はパーツが集まって「東京駅」という装置として作動するというイメージがあります。
ー《in Tokyo #1》では、女性のバストアップが駅舎の前の中央分離帯から出現していますね。
《in Tokyo #1》
この作品では、「現実にあり得ない風景を描く」という挑戦をしました。女性が東京という都市の1パーツになっているということを表現できないか試行錯誤した結果です。そんな中でも淡々と生きる女性の表情とのコントラストも描き出したくて。
ちなみに、彼女が埋まっているのか、生えてきているのか、そこは鑑賞者のイメージにお任せします。
ー空の見える《#1》に比べ、《#2》《#3》は背景にみっちりと建物が描き込まれています。
《in Tokyo #2》
《#2》《#3》では、都市の狭さや、様々な立場の人がひしめき合う感覚を表現したかったので、ぎゅっと詰まった構図にしました。「東京駅」というひとつの場所ではなく、コンビニや地下鉄の駅など、ある程度都会ならどこにでもある風景をモチーフに選ぶことで、普遍的な人間の姿を描きたいという理由もあります。
ー《in Tokyo》シリーズは、作品側面まで細かく描き込まれていますね。
《in Tokyo #3》
そこはこだわったポイントです。側面まで描くことで絵画に描かれた風景は広がりますし、実際に絵画を見る経験を豊かにできるのではないかと思っていて。側面がそもそも存在しないデジタルではできないことですし、そういう「デジタルへの抵抗」という意味では昨年8月の「Do girls dream of electric city?」から通底したテーマが自分の中にありますね。
ー以前はデジタルを中心に制作されていましたが、12月グループ展の作品から、完全にハンドペインティングに移行されていますよね。制作の上で大きな違いはありましたか?
両者の一番大きな違いは、工程数の多さだと感じます。
デジタルは基本ソフト上で絵を描いたら、すぐ印刷所に入稿してキャンバスにプリントしてもらう、という感じで、作品が出来上がるまでの時間が比較的短いんですね。
一方で、ハンドペインティングは木枠を組むところからスタートし、キャンバスを張る、下地を何回も重ねる……というように、工程が多い分時間もかかります。ですが、いざ絵を描く段階までに作業がある分、その時間で色や構図のアイディアが沸いたりもして。
個人的には、ハンドペインティングでは作品を描く前の「助走時間」ができる点が嬉しいですね。その助走を生かして、今後も人間が持つ「強さ」を描き出したいです。
著者
TRiCERA ART