2023年10月27日-28日、SBIアートオークションにて近現代美術を扱う「Modern and Contemporary Art@HILLSIDE FORUM」が開催されました。
落札総額は前回よりも増加傾向で、アートマーケットの復調を感じさせる結果です。
本記事では、今回のSBIアートオークションでの注目の落札結果を紹介します。
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前回より回復&9ヶ月ぶりに落札予想額を上回る
2023年10月27, 28日に開催されたSBIアートオークションの落札総額(税抜)は¥1,066,665,250で、落札率は91%となりました。
前回7月の落札総額(税抜、¥631,867,500)&落札率(88.60%)を大きく上回り、なおかつ2023年1月ぶりに実績額が予想最高落札額を超えています。
2023年上半期は、世界的にアートオークションの取引額が抑えられる傾向にありましたが、今回のオークションでは復調の兆候が見えたと言えるでしょう。
続いては、今回のオークションでの落札結果をご紹介します。
TRiCERAで取扱中のアーティスト
ロッカクアヤコ
Lot182「Untitled」2017、アクリル、キャンバス、90.0 × 90.0 cm
¥32,200,000 (Estimate: ¥10,000,000-¥15,000,000)
Lot183「Untitled」2008、アクリル、キャンバス、60.0 × 90.0 cm
¥26,450,000 (Estimate: ¥10,000,000¥-15,000,000)
ロッカクアヤコの原画作品2点は、最高予想落札額の1.5~2倍程度での落札結果を残しました。2023年前半、ロッカクアヤコの原画は落札予想額の平均値を下回る落札額が多く、1㎠あたりの落札額が¥1,000以下となるケースも目立ちましたが、9月〜10月にかけて徐々に¥2,000台に回復しています。
TRiCERAでは、ロッカクアヤコのリセール作品もサイト上で販売中。
また、公式LINEよりお問い合わせいただいた場合、サイトでは未公開の作品の入荷を優先案内いたします。
Backside works.
lot67 「Maneater」2020、シルクスクリーン、I. 53.0 × 53.2 cm、ED. 30
¥1,782,500 (Estimate: ¥600,000-¥900,000)
Lot65「VALIANT GIRLS」2019、ジークレー、キャンヴァス、53.0 × 41.0 cm、ED.15
¥3,105,000 (Estimate: ¥1,500,000 - 2,500,000)
今回のオークションでは、Backside works.の版画作品も大きく落札実績額を伸ばしました。
特に「Maneater」は最高落札予想額のほぼ2倍にあたる¥1,782,500での落札。「VALIANT GIRLS」も予想落札額を超える¥3,105,000です。
Backside works. 版画作品の落札額は2023年3月〜9月は低下傾向にありましたが、今回は2023年1月を少し超える基準まで大幅にアップしています。
TRiCERAではBackside works.の版画作品も取り扱っています。
「VALIANT GIRLS」にも登場した女性が描かれる、週刊少年ジャンプとのコラボ作品「No.13 Edition」など注目作品多数。
愛☆まどんな
lot203 「彼女の顔が思い出せない」2020、アクリル、キャンバス、41.3 × 41.3 cm
¥1,437,500(Estimate: ¥600,000-¥900,000)
愛☆まどんな「彼女の顔が思い出せない」は、最高予想落札額を¥500,000上回った¥1,437,500で落札。
2023年9月の国内オークションでは、同シリーズの原画作品が¥690,000の落札結果だったことをふまえると、かなり回復しています。
なお、TRiCERAでは「彼女の顔が思い出せない」の版画作品シリーズを販売中です。
落札実績額TOP(原画)
草間彌生
Lot150「かぼちゃ」1993、アクリル、キャンバス、15.8 × 22.7 cm
¥80,500,000(Estimate: ¥50,000,000-¥80,000,000)
今回のオークションで最も高額落札されたのは、草間彌生の原画作品「かぼちゃ」。人気モチーフかつ原画作品のため元々の予想落札額も¥50,000,000-¥80,000,000でしたが、最高落札額を少し上回る¥80,500,000で落札されました。
金山明
Lot128「作品」1958、塩化ビニール塗料、パネルにマウントしたビニール、134.7 × 114.2 cm
¥48,300,000(Estimate: ¥5,000,000-¥8,000,000)
具体美術協会の代表的なアーティスト・金山明の作品は、最高予想落札額¥8,000,000の5倍を超える¥48,300,000での落札となりました。
本作は1958年、具体美術協会結成の5年後に金山が制作したもの。作品が展示される空間や環境を重視した金山の作風を反映したもので、日本現代美術史における重要性の高さも今回の高額落札の原因と推察されます。
落札実績額TOP(版画)
アンディ・ウォーホル
Lot113「Marilyn Monroe (F. & S. Ⅱ.30)」1967、シルクスクリーン、S. 91.4 × 91.4 cm、ED. 250
¥ 21,275,000 (Estimate¥8,000,000 - 13,000,000)
Lot112「Anniversary Donald Duck (F. & S. ⅡA.360)」1985、シルクスクリーン、S. 77.5 × 109.2 cm、ED. 30
¥ 17,825,000 (Estimate¥6,000,000 - 9,000,000)
Lot111「Saint Apollonia (F. & S. Ⅱ.330-333)」1984、シルクスクリーン(4点組)、S. 76.2 × 55.9 cm、AP aside from ED. 250
¥14,375,000 (Estimate¥6,000,000 - 12,000,000)
今回のSBIアートオークションでは、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの版画作品が複数出品され、内3点が¥10,000,000以上の高額で落札されました。
ジャン・ミッシェル・バスキア(after)
Lot 114「Untitled (Per Capita)」2001、シルクスクリーン、S. 101.8 × 101.5 cm、ED. 85
¥15,525,000(Estimate ¥8,000,000 - 14,000,000)
また、グラフィティー・アートを切り拓き、ウォーホルと共同制作を実施するなど一世を風靡したアーティスト、バスキアのシルクスクリーン作品も¥15,525,000で落札。
デイヴィッド・ホックニー
Lot117「ホテル・アカトラン, 第2日<ムーヴィング・フォーカス> (M.C.A.T. 270)」1984 - 1985、リトグラフ(2枚組)、S. 73.0 × 193.0 cm、AP aside from ED. 98
¥ 12,075,000 (Estimate: Estimate¥8,000,000 - 14,000,000)
1980年代、ホックニーが複数の視点を一画面に共存させる試みとして制作した「ムーヴィング・フォーカス」シリーズのうちの1作。
11月5日まで東京都現代美術館で開催されていた「デイヴィッド・ホックニー」展でも同一作品が展示されていました。
落札予想価格内には収まったものの、今回の版画作品全体でも高額な¥12,075,000で落札されています。
落札予想額からの上昇率が高いアーティスト
村上隆
Lot 152「Untitled」1991、岩絵具、木製パネルにマウントした和紙(2枚組)、60.0 × 50.0 cm
¥15,525,000 (Estimate: ¥1,500,000-¥2,500,000)
岩絵具を使用した村上隆の原画作品。最高予想落札額の6倍を超え、今回オークションでは最大の伸びを見せました。
鬼頭健吾
Lot 15「cosmic dust - gold」2007、油彩、ラメ、キャンヴァス、65.2 × 65.2 cm
¥2,415,000 (Estimate: ¥300,000-¥500,000)
画面全体にラメが散りばめられた本作は、予想最高落札額の約5倍、¥2,415,000で落札されました。
日常的な工業製品やラメ、モーターの動きを取り入れたインスタレーション、立体等を幅広く制作する鬼頭健吾。
Cosmic dustシリーズは、2023年4月オークションでも¥1,437,500で落札されたため、半年間でさらに¥1,000,000の上昇となりました。
年別に鬼頭作品の落札推移額を追うと、2023年は特に1㎠あたりの落札実績額が急上昇中。
今後のセカンダリ市場の動きに注目が集まります。
山崎雅未
Lot 28「Fair is foul, and foul is fair. #2」2022、アクリル、キャンヴァス、117.0 × 91.0 cm
¥2,415,000 (Estiamte: ¥350,000-¥550,000)
今回がオークション初出品となる山崎雅未の作品は、最高落札予想額の約4倍となる¥2,415,000で落札。
Art Collaboration Kyotoなどアートフェアへの出品実績もある新進気鋭のアーティストで、今後のセカンダリ市場での成長も期待されます。
品川亮
Lot 8「桜図」2021、岩絵具、墨、膠、金箔、アクリル、パネルにマウントした和紙、37.5 × 25.0 cm
¥1,610,000 (Estimate: ¥250,000-¥350,000)
品川亮は、伝統的な日本画と近代美術の技法を取り入れて「日本の絵画」を再考するアーティスト。
オークション出品は今回で6回目、原画作品としては4回目ですが、予想最高落札額の4倍以上という¥1,610,000での落札を達成しました。
品川の原画作品は、現時点では全ての回で予想落札額を上回っており、今後のセカンダリ市場人気の高まりが予想されます。
友沢こたお
Lot 197「slimeXIX」2020、油彩、キャンバス、91.0 × 72.7 cm
¥6,325,000 (Estimate: ¥1,200,000-¥1,800,000)
スライムが顔に貼りついた人物を描く友沢こたおの原画作品も、最高落札予想額の3倍以上の¥6,325,000 で落札されました。
本作は友沢のシグネチャーモデルでもあり、ますますセカンダリ市場での評判が盤石なものとなるでしょう。
西 祐佳里
Lot 3「The New Hope Ⅲ」2021、アクリル、パネルにマウントしたキャンヴァス、103.2 × 73.0 cm
¥1,265,000 (Estimate: ¥250,000-¥350,000)
西祐佳里は、写真やネット上の画像をデジタルコラージュしたイメージをアクリルで描き出すアーティスト。
オークション初出品となる今回、Lot Noも3と、オークション開催後すぐに登場したことからも、オークション会社からの注目度や期待の高さが窺えます。
結果としては、予想落札額の約3.5倍となる¥1,265,000と好調。
KYNE、井田ら注目作家の結果
KYNE
lot38「Untitled」アクリル、シルクスクリーン、パネル、18.0 × 14.0 cm
¥2,185,000 (Estimate: ¥1,000,000-¥1,500,000)
二次元派アーティストの寵児、KYNEは原画・版画あわせて5点の出品でした。
その中でも、F0号の作品「Untitled」は¥2,185,000と、今回のKYNE作品内で最も高額で落札。
2014年と、KYNE作品でも活動初期の作品であったことが価格上昇につながったのではないかと考えられます。
井田幸昌
Lot164「A head (Miki)」2019、油彩、キャンヴァス、162.0 × 130.3 cm
¥16,100,000 (Estimate: ¥10,000,000-¥15,000,000)
近年プライマリー、セカンダリーともに国際的な注目を浴びるアーティスト、井田幸昌。
2023年9月のSBIアートオークションでは、Diorとコラボしたバッグが¥1,897,500で落札され、大きな話題となりました。
原画作品である今作は、¥16,100,000という堅調な結果です。
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