8月22日(火)〜 26日(土)にかけて9s Galleryで開催された蟷螂子の個展、「Do Girls Dream of Electric City?」。展示作品が全点完売するなど、大きな注目を集めました。
本記事では展示レポートをお届けいたします。
蟷螂子とは
蟷螂子
2021年より作家活動を開始。『美人画の再構築』に挑む現代アーティスト。
アーティスト活動開始からわずか2年で台湾・釜山など海外アートフェアに多数出展し、人気を博す。2023年8月には大丸・松坂屋が経営するギャラリーGINZA SIX Artglorieux Galleryにて、草間彌生らとともにグループ展に参加するなど、現代アート界からの期待も高い。
さらに、同月TRiCERAで実施した個展「Do girls dream of Electric City?」では出品作7点が全点完売。
個展「Do Girls Dream of Electric City?」で蟷螂子が描き出したもの
蟷螂子は2021年のデビュー以来、デジタルを中心に発表してきましたが、2023年初頭から、塗り込まれた絵の具が表現できる「情報量の多さ」に惹かれてハンドペインティング制作へ移行しています(詳しくはインタビュー記事を参照)。今回の展示では、その過渡期の作品が並びました。
ギャラリーの壁面に飾られているのは、新作「R City」の他、2022年に描かれた、夜景が投影された女性たちの作品群。展覧会タイトルの「Electric City」を象徴するかのような展示です。
さらにギャラリー奥の壁面には、ハンドペインティングで制作された「傲慢」と「怠慢」がセットで展示されています。
作品のアイディアは言葉から着想し、最初にタイトルを決めてから制作を始めるという蟷螂子。モノトーンの背景に力強いゴシック体が与えるインパクトは、ロゴデザイナーとしての経歴を持つ蟷螂子ならではです。一方、少女の髪の毛から覗くカマキリは、ふっとこちらの緊張を緩ませるような印象も与えます。こうした緩急も、蟷螂子作品の魅力と言えるでしょう。
デジタルとハンドペイントの融合:R City
本展のために制作された「R City」。会期中は、蟷螂子がデジタルで制作した図像をキャンバスプリントした状態の作品が展示されました。
さらに、会期終盤のライブペインティングでは、蟷螂子が直接筆と絵の具で仕上げる過程を公開。
デジタルとハンドペインティングを組み合わせる本作。蟷螂子自身は、近年発展する生成系AIの台頭も視野に入れ、「(それまで人間の特徴とされてきた)創造力をAIが手に入れた時、人間には何が残るのか?」という問いも込めて「R City」を構想したといいます。
ハンドペインティングによって、六本木の夜景に鮮やかな色彩が加わった本作。作家活動わずか数年で驚異的な成長を遂げ、さらに変革へと突き進む蟷螂子のマイルストーン的作品として位置付けられるでしょう。
アーティストコメント
なぜTRiCERAで展示を開催したのか
様々な場所で展示会をしていましたが、よりアートコレクターの方と繋がれるギャラリーで展示をしたいと考えていた時にTRiCERAさんからお誘いを受けました。話し合いの末、直感的にここでやってみたいと感じ、さらに提示頂いたテーマの概要が展示予定作品群に不思議と矛盾なく重なっていた為、個展開催を承諾しました。
「R city」に込められた想い、制作の背景やライブペインティングについて
「R city」は個展の核となるメインビジュアルの役割も担う作品として制作しました。
夜間の都市を近未来的な目線で捉えた作品が「R city」であり、「デジタルとアナログ」や「AIと人間」等の問いも内包しています。
「デジタルとアナログ」「AIと人間」を強調する試みとして、ライブペインティングを実施しました。予定通りに事が運ばないアナログの技法が計算された世界を汚していく過程はスリリングかつ神聖な儀式を執り行っているような時間でした。
個展を終えての感想
すべての展示作品が完売となったことが、作家として素直に嬉しかったです。
作品を眺める来場者がいる展示空間は、作家の存在そのものを肯定するかのような空気に満ちていて、今後の活動や展示に向かう気力が自身から湧いてくるのを感じました。
ライブペインティングについては、展示の場に足を運ばないと楽しめない仕掛けとしての有効性を確認出来たので、今後の展示活動に生かせる発見となりました。
蟷螂子作品の購入をご希望の方はこちら
蟷螂子作品の購入を希望されるお客様は、下記ボタンよりTRiCERAの公式LINEアカウントにご登録ください。
お友達登録後、「蟷螂子の作品を探している」とメッセージをご送信ください。
お客様をウェイティングリストに登録し、サイト上で未公開の新作を優先的にご案内させていただきます。