初回購入時に5%OFF & 送料無料

FIRSTART5

2回目購入時に使える10%OFFクーポンを初回購入後発行!

  • Others
  • Contemporary Art

Rafa Mataを知るための6つのポイント

2021/05/31
Manami Yoneda
人の視線を集めるビビットでポップなイラスト。でもよく見ると、不気味なクリーチャーのような生き物が描かれていたり、現代を風刺したようなスパイスの効いたキャプションが添えられている。背景に描かれた街には日本語で描かれたネオンに光る看板があったりと、不思議な魅力を持つRafa Mataのアート作品。彼はそこから現代を生きる私達に何を伝えようとしているのだろうか。 Get to Work/66cm×100cm/ジークレープリント (Get to Work/66cm×100cm/ジークレープリント)

1.経歴

Rafa Mataはスペインのマドリッドを拠点に活動しているアーティスト。大手広告代理店のMcCann EricksonやOgilvy & Mather、Havasなどで広告イラストレーターとして10年間勤務した過去を持つ。アメリカのロサンゼルスに住み、ハリウッドの脚本家と一緒に作品を作る仕事も経験した。彼の作品から感じる、人の視線を集めるようなキャッチーなデザインの魅力は、これらの経験から来ているのだろう。

2.繊細で、生き生きとしていて、不気味

作品全体を通して、都市の中で日常生活を送る女性が描かれており、ぱっと見ただけでは、ポップな印象を与えるただのポスターのように見える。しかしそこには深いメッセージ性が込められていることに気づいた。その1つに「Level Up」という作品がある。ここでは眼鏡をかけた女性が携帯ゲーム機を持ちながら座って休んでいる。休憩中にゲーム機で遊ぶ1日の中の短い時間。そんな短い時間のあいだにも世界では色々な出来事が起きていて、自分の周りの状況は知らないうちに刻一刻と変化している。それはゲーム機を見る前とは少し違う世界だ。右下にある「ゲームオーバー」という文字は、他の事に気を取られて世界から孤立してしまっていることを指しているように思えた。私達は日々忙しく様々なことに気を取られやすい。でもそうやって誰かが作ったものを通して見ているだけでは、変化に取り残されて、孤立してしまうというRafa Mataの込めたメッセージがある。電子機器が身近な存在になっている私達にとって、非常に考えさせられる点だ。 Rafa MataのLevel Up - TRiCERA(トライセラ) (Level Up/100cm×70cm/ジークレープリント)

3.作品のテーマと「現代」

冒頭でも触れたように、現代を風刺したような私達が抱えがちな問題をテーマにしていることが多い。その中にはソーシャルメディアやセルフイメージ、アイデンティティといったものも取り上げられている。「Macrobian Portrait II」という作品では、女性が不思議な柄の服を着てこちらを見ている。デザイン的な肖像画のように見えるが、読み解いていくと印象が変わった。以前はブランドが人々の注目を集めようとして広告を出していたのに、今ではSNSを通して匿名の人達がブランドの注目を集めようとしている。SNSの中でトップモデルになっても、ファンは携帯電話の向こう側で撮影も一人。服の柄からは、誰もが生活の中でソーシャルメディアや広告、ウイルスに囲まれて生きていることが示されおり、SNSで多くの人気を得たとしても、見方を変えれば孤立しているのでは?というRafa Mataの考えから表現された作品だ。 Rafa MataのMacrobian Portrait II - TRiCERA(トライセラ) (Macrobian Portrait II/42cm×30cm/アクリル,ペン)

4.アートによるメッセージと私達

脳は情報の約90%は視覚から取り入れているという結果も出ており、アートは私達に必要な多くの情報を与えてくれている。毎日の生活の中で何気なく行っていることでも、アート作品を見ることで深く考え直すことがある。与えられた情報を生活のなかで役立てることは誰にでもできる。Rafa Mataのアート作品から共感したり、自分自身のことについて振り返る機会になっただろうか。もしそうならRafa Mataのアート作品は、私達の人生を豊かに変えるきっかけとなるだろう。

5.「孤立」をポップに描くこと

孤立した女性を多く取り上げているRafa Mata。SNSやスマートフォンの発達からたくさんの繋がりが持てる時代になったからこそ、私達に「孤立とはどういうことなのか」本質をついた視点で教えてくれている。人に囲まれて生きているというだけでは、孤立していないとは言えないのかもしれない。そのような社会的なテーマに対して、東洋と西洋、神話と現代、伝統的な神々と現代のウィルスやバクテリアなどを、固定概念に囚われずにユニークに組み合わせている。その巧みな技が、この作品全体を重い雰囲気にせずに、ポップな印象に仕上げてくれているのだ。

6.Rafa Mataが描く独自のアートスタイルの開発

現在では初の出版プロジェクトや、展覧会の企画、新しいアートスタイルの開発をしている。InstagramやTwitterで日々の活動を発信をしており、最新の作品を気軽にチェックすることができる。そこではアナログ作品の線画を実際に描いている様子が短い動画で載せられていたりと、ファンを楽しませる工夫がされていて飽きさせない。これからもRafa Mataからの現代を生きる私達へのメッセージに注目していきたい。

著者

Manami Yoneda