覆面アーティストとして知られるバンクシー。
これまでにも、パレスチナなど世界各地の紛争地帯で反戦を訴える壁画を描いてきました。
ウクライナの紛争地帯にも、昨年11月、ロシア侵攻を批判するような壁画が描かれた。首都キーウ周辺で、7つの壁画が見つかりました。
バンクシーは続けてチャリティ作品を発表するなど、ウクライナを支援する姿勢を見せています。

バンクシーとウクライナ侵攻の関係

ウクライナ侵攻に関連して、バンクシーはまずキーウ周辺に7つの壁画を描いて話題を呼び、続いてチャリティ作品を発表してウクライナへの寄付を表明しました。
この壁画の一つが記念切手として発売されるなど、大きな反響を呼んでいます。

7つの壁画はどこに描かれたのか？

2022年11月、キーウ周辺で7つの壁画が発見されました。
インスタグラムの公式アカウントで制作する実際の動画を含むビデオが公開されたことで、真正性が証明されました。
壁画が描かれた町のひとつボロジャンカは、ウクライナの首都キーウから約50km北西にある住宅街。
ロシアの侵攻により集合住宅が崩壊し、200人以上が行方不明になるなど、キーウ近郊では最悪の被害を受けた街の1つです。
ロシア軍が撤退した今でも、町には攻撃の爪痕が残っています。

最初の壁画

最初にInstagramで発表された作品は、瓦礫の上で逆立ちのポーズをとる少女像でした。同じく大きな被害を受けた町イルピンには、首にサポーターを巻いてリボンを持つ少女像が描かれた。いずれも、新体操大国として知られるロシアを彷彿とさせます。

トラックの壁画

キーウ市内では、「Z」マークをつけた軍用トラックの作品が見つかりました。
この図像では、もともとあった男性器の落書きが大砲に見立てられています。
「Z」の意味には諸説ありますが、ロシア軍の装備に描かれるマークであり、ウクライナ侵攻支持者のシンボルとして広まっています。

切手になった柔道の壁画と、その他の壁画

ウクライナ国内の切手にもなった柔道で大人が子供に投げ飛ばされる絵があります。
こちらは、ロシアのプーチン大統領の趣味である柔道で、プーチン自身が投げ飛ばされている様子を描いたものだとして皮肉として受け取られています。


また、廃墟となった住居の壁には風呂で体を洗う男性の老人の姿が描かれています。
他にも、ガスマスクをして消火器を持つ女性、壁の手前に置かれた鉄鋼をシーソーのように見立てた絵画などもあります。

現地の人の反応

ウクライナ国内に残り、実際に壁画が描かれた場所の近くの住民は、以下のように語っています。
「1か月か、もっと前か･･･。昼ごろだったと思う。散歩していたら、彼がここで作業をしていたんだ。まさかそんなに有名な人だとは思わなかったから、直接顔は見ていないけれど、40歳くらいに見えた。背が高いわけでもなく、太っているわけでもない、そんな印象を受けたよ。周りにも人がいたけど、何人いたかは覚えてないな」
「絵ができて何が変わったかと言えば、見に来る人が増えたことぐらいだ。有名なアーティストの人が描いたものだろうから、ちゃんと守られるべきだと思うよ。しかしどうやって運ぶんだろうな。木の切れ端に描いてあれば話は簡単だろうけど」

チャリティプリントの発売

「ウクライナの人々との連帯」を掲げるバンクシーは、壁画を発表したのち、チャリティプリント作品を発売するとの発表をしました。
売上はウクライナ支援を行う団体の活動賃金に全額寄付することになっています。
バンクシーなりの支援の形が、このような壁画を発表して人々の注目を再びウクライナに持ってくるということだったのでしょう。



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