9s Galleryでは、2023年5月27日（土）から2023年6月4日（日）まで、「Norris Yim - Beyond Names」展を開催いたします。
Norris Yimとは？3点要約！
💡表現しているテーマ
・真のアイデンティティ
・社会的抑圧
・対人関係の脆弱性
💡作品鑑賞のポイント
- 盛り上げられたマチエールと柔らかいグラデーションの対比
💡どんなアーティスト？
社会的抑圧による孤独に抗うためのアイデンティティを表現する、抽象と具象の入り混じった絵画を発表する香港出身の若手画家
Norris Yimとは
香港出身のNorris Yim（ノリス・イム）は、現代人の匿名性を表現した抽象的な肖像画で有名な画家です。香港理工大学でデザインを学んだのち画家に転向し、洗練されたビジュアルで現代人のディストピアを表現し高い評価を得てきました。
個展「Norris Yim - Beyond names」では、2021年から続くシリーズの「Nameless」の新展開が日本で初めて発表されます。
香港で生まれ育ったNorrisは、雨傘運動や香港国家安全維持法に抗するデモで激動する香港社会を目の当たりにしてきました。民主主義社会の保持が危ぶまれている地で制作を続ける彼だからこそ、人間がその内側に秘めている本当の愛情や複雑な心の動きを、絵画という形に落とし込みたいという切実な創作欲が湧き続けるのかもしれません。
ビジュアルイメージが非常に洗練されているため、時に表面的な部分で評価されがちなNorrisの作品ですが、非常に生身の感覚を大事にしながらも抽象度を保持しているというアンビバレントなバランス感覚こそ、彼の注目されるべき特質であると言えます。
アーティスト・ステートメント
「絵の具によって、人々の孤独の肖像を、詩的に表現している。
資本主義や偽善的な生き方を肯定するために、人々は生き残るために本来の姿を葬り去り、新しい顔が古い顔に取って代わり、メイクアップさえも偽善と人生への恐怖を抱えた新しい自己忘却した自分になる。それは、社会の哀れさと悲しさを表現する抽象的なポートレートのシリーズを生みだした。
それらの抽象的な絵の具は、作品の根幹をなす私の暗黒面や気分を表している。
絵画は純粋に自己表現の手段であり、私の他者への観察を変換し、創造的なインスピレーションとして内面化するプロセスである。
絵の具の詩により、自らの精神的安定を保っている。自己表現は孤独を帯びているのだ」
「「Nameless」は、社会的な抑圧の結果として生まれたものだが、世界について考察するための手段としても機能している。現代社会は、AIの急速な発展、戦争、人種差別など、数多くの課題に直面しているからだ。
「Nameless」の哲学的な意義は、個人的な文脈でも社会的な文脈でも、個人どうしの関係がますます脆くなることを思い起こさせるという点にある。私たちの違いや類似性、存在や非存在にもかかわらず、個人はエゴを捨て、自己認識の新たなレベルを探求するために、自分の本質を掘り下げるべきである。
そして、重要なのは、私たちがいかに周囲やお互いから疎外されうるかをも描き出しているというところである。さまざまな顔料を使用してバランスを探り、素材や色に対してオープンで包括的な姿勢を保つことで、「Nameless」は人間社会の相互接続を思い出させ、個人が相互に依存しているという考えを表現し、他者の存在に対する尊敬と理解の重要性を強調しているのである」
個展「Beyond Names」について
カラフル・モノクロなど様々な色彩を自在に駆使しながら、顔面があるはずの場所に暴力的に盛り上げられた絵の具は、まるでデジタル画像のノイズのようにも見えます。
資本主義社会の中で、私たちは生き残るために偽善的な仮面を被ることが日常になっています。オリジナルの「顔」は隠されたまま。いつの間にか、顔を隠す道具だったはずの仮面が顔それ自体になってしまい、メイクアップと同様にオリジナルの自己を忘却させてしまいます。
Norrisは、その仮面を剥ぎとり、なまの絵の具で感情を表現します。哀れみや悲しみすら感じさせる「Nameless」シリーズは、現代社会の宿痾を暴露する作品です。
私たち自身の肖像が描かれていることに、虚を突かれたような衝撃をもたらすNorrisの作品を、ぜひ会場でご高覧ください。
アーティストプロフィール
Norris Yim （ノリス・イム）
1989年、香港生まれ。
2014年、香港理工大学デザイン学部環境・インテリアデザインコースを卒業。
2015年から3年間インテリアデザイナーの仕事を経験したのち、独学で絵画を学ぶ。
2019年より作家活動を開始。
個展開催概要
Norris Yim - Beyond Names
会期：2023年5月27日（土）から2023年6月4日（日）
営業時間：会期中無休 12:00 〜18:00 ※最終日 〜17:00
会場：9s Gallery by TRiCERA
〒106-0031 東京都港区西麻布4-2-4 The Wall 3F
アクセス：東京メトロ日比谷線 六本木駅 徒歩10分・広尾駅 徒歩10分
東京メトロ千代田線 乃木坂駅 徒歩10分
連絡先：03-5422-8370
