①全てを描いた画狂老人・葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》1831 - 33年
世界的に有名な葛飾北斎の作品の中でも、最も知られているといっても過言ではない作品。
凶暴なまでに高く激しく渦巻く波濤と、波に揉まれる3艘の舟、それらを目の前にしつつ、うねる波間から遥か彼方にある富士の山を垣間見るという、劇的な構図をとっています。
一筋一筋の水の流れ、波濤のうねり、波に沿わせた舟の動き、富士山のなだらかな稜線といったものはすべて、幾重にも折り重なる対数螺旋の構成要素となっていると考えられます。
印象派の作曲家ドビュッシーの『海』のスコアの表紙に採用されたりなど、西洋にも広く影響を与えた作品として有名です。
ドビュッシー『海』1905年版
②雨を線描で描いた斬新な作品、歌川広重《大はしあたけの夕立》1857年
名所江戸百景の一枚、第52景で、多色刷り木版画で描かれた作品です。
隅田川にかかる「大はし」を遠景がぼけるほど激しい夕立に降られながら渡る人々を、西岸から見て描かれています。
ポスト印象派として有名なフィンセント・ファン・ゴッホも日本美術の影響を受けており、特に広重のこの作品は模写もするなど深いインスピレーションを受けていました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《雨の大橋、広重作品模写》1887年|ヴァン・ゴッホ美術館所蔵
③可愛らしい猫を描いた、竹内栖鳳《班猫》1924年
竹内栖鳳の代表作の一つに挙げられる「班猫」は、人間にとって身近な動物である猫が主役の日本画です。
それまでの日本画の世界では、愛玩動物がフィーチャーされることはあまりありませんでした。
日常の風景に眼差しを向け作品に昇華したのは、小料理屋を営む家に生まれ、地元・京都で絵を習いながら成長した竹内栖鳳らしい側面です。
一説には、竹内栖鳳は八百屋の軒先でまだら模様の猫を見かけ、その動きや模様などのディテールに興味を持ったことからこの作品が生まれたとか。
猫を観察してしっかり描くために、竹内栖鳳は八百屋に頼み込んで猫を譲り受けるほど、日本画のリアリズムに情熱を注いでいたようです。
同作は、国の重要文化財にも指定されています。
④自然の豊かさと移り変わりを描いた、横山大観《生々流転》1923年
全長約40メートル、日本一長い画巻にして重要文化財という、注目すべき作品。
「万物は絶えず生まれ、変化し、移り変わっていくこと」を意味する生々流転というタイトルを冠した同作は、「水の一生」を高度な水墨画技法で描いています。
山あいに浮かぶ雲からひと雫の雨が生まれ、地面に落ちて流れ、川になり、人間やあらゆる生物の生活を潤し、やがて大河になり、海に合流し、龍が舞う荒れた海から再び雲になる、というもの。
豊かな水とともに生きてきた日本人にとって、水の一生は人の一生とともにあるものでもあります。
同じ自然の一部として、人の在り方にも問いを投げかける作品かもしれません。
⑤白馬の幻想的な山を描いた、東山魁夷《緑響く》1982年
テレビコマーシャルにも登場し一躍有名になった「緑響く」は、東山魁夷が信州の自然の美しさをモチーフに制作した幻想的な日本画です。
柔らかく豊かな緑の森を背景に、湖に沿って歩く白馬。
湖面には森と白馬がそのまま反転して映り、水の美しさが際立ちます。
画面には描かれていない空は曇りなのか、全体的に霧がけむるようなくすんだ色合いながら、なおむせかえるような濃い緑が印象的です。
日本人が抱く自然観を切り取って絵画にしたようで、ファンタジックでありながら深く心に訴えかけてきます。
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