ゴッホやモネ、レンブラントやモディリアーニ。
西洋美術史の中でとても有名な画家たちの絵画は、海外や特別な企画展示の時でないと見られないと思っていませんか?
実は、国内の美術館にもかなりの数の有名絵画が所蔵されています。
今回は、日本国内で有名西洋絵画を巡る旅をしましょう!
ゴッホ《ひまわり》
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年
所蔵:東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(東京/新宿)
ゴッホの作品の中でも最も有名な絵画、《ひまわり》。
現存する7枚のうち、一枚はなんと日本の美術館で常設されています。
パリの鬱屈した雰囲気から逃れ、燦々とした美しい太陽光が降り注ぐ南仏のまちアルルに移住したゴッホ。彼は、アルルで仲間のゴーギャンと共同生活をしながら制作を続けようとしました。
このひまわりは、ゴーギャンの到着を待ちながら、その部屋を飾るために描かれたものです。
他の作品と非常に似た構図でありつつも、背景や花瓶の乗せられている机に規則的なタッチを使ったり、オレンジや黄色の色幅を微妙に調整したりするなど、細かい工夫を重ねた様子が伺えます。
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ミレー《種をまく人》
ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》1850年
山梨県立美術館(山梨/甲府)
ジャン=フランソワ・ミレーによる《種をまく人》は、種まきをして生き抜いていく農民の姿を謳いあげるような力強さが特徴的な絵画です。
1850年、パリのサロン(官展)に出品された本作は、農民の悲惨な生活に抗議する政治的な表明ととらえる人も多く、激しい議論を呼んだと言われています。
また、技法の面でも、アカデミックな技法では嫌われる絵具の厚塗りを行っており、その点でも革新的でした。
その様子を、評論家のテオフィル・ゴーティエは「乱暴な身振りと、ひどく粗末ななりをしたこの人物は、種をまく土の色で塗られているかに見える」と評しました。
政治や社会の現実を描くミレーと共に、同じ時代にはクールベ、ドーミエといったレアリスムの画家が現れており、それまでの理想主義的な絵画とは一線を画した美術史上の革命だったと言えます。
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モネ《睡蓮》
クロード・モネ《睡蓮》1918年
MOA美術館(静岡/熱海)
モネは、「連作」という手法をよく使用していました。睡蓮はモネの生涯にわたって何度となく描かれ、彼のライフワークとなった作品でした。
この作品のサイズは130×200cmと国内にある睡蓮の中でも特に大きく、印象的な構図と細かい描き込み、グラデーションが特徴な見応えのある作品です。
睡蓮の中でも後期に描かれたこの作品は、蓮の葉の形をとるデッサンの線なども意図的に残しつつ抽象的な美しさを持つ興味深い作品といえます。
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モディリアーニ《おさげ髪の少女》
アメデオ・モディリアーニ《おさげ髪の少女》1918年頃
名古屋市美術館(愛知/名古屋)
モディリアーニの作品は、独特のデフォルメをされた人物像で有名です。
この絵画では、茶色い髪の少女が真っ直ぐに鑑賞者を見つめている構図になっています。
モディリアーニは、アルコールや薬物などに溺れた退廃的な生活を送ったと言われていますが、この作品は祈りにも似た静謐さに満ちているように見えます。
この作品は、画家の死の約一年前、第一次世界大戦中のパリの混乱から逃れるために南フランスに移住したときと考えられています。
自らの死期を悟っていたのか、それとも少女の純粋さに心を打たれたのか、はたまたその両方か。少なくともこの作品は清潔な静けさを湛えているといえます。
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グレコ《受胎告知》
エル・グレコ《受胎告知》1590年頃-1603年
大原美術館(岡山/倉敷)
スペインの画家、エル・グレコのとても独特な作品群は、一目見て彼のものだとわかるでしょう。
聖母マリアが、大天使ガブリエルから神の子を自らのお腹に宿したことのお告げを受ける場面が、非常に衝撃的な色彩と場面設定のもと描かれています。
エル・グレコが描く人物は非常に頭身が高く、また夜のように暗い空間や雷といった劇的な演出がよくあります。衣服のひだなどの陰影が激しく強調された描写も見事で、写実的なものとはまた違った独特の魅力を湛えています。
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レンブラント《広つば帽を被った男》
レンブラント・ファン・レイン《広つば帽を被った男》1635年
DIC川村記念美術館(千葉/佐倉)
17世紀オランダを代表する画家レンブラントは、バロック的明暗法と巧みな心理描写によって、神話や聖書に基づく主題や肖像画などを手がけたことで知られています。
この肖像画は当初、モデルとなった男性の妻の肖像と一対であったことが分かっています。肖像画を注文した夫婦の家で並べて飾られていたはずの2枚の絵は、おそらくはモデルの子孫が財産を継承していく過程で別々になってしまったのでしょう。
モデルの男性はその服装などから、裕福な市民のひとりであったと推察されます。モデルの顔には画面左方から光が当てられ、その生き生きとした表情が陰影豊かに描き出されており、肌や髭・髪の毛、レースの襟や黒い衣裳など、質感をリアルに再現した細部の描写も見事です。
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ルノワール《読書するふたり》
ピエール=オーギュスト・ルノワール《読書するふたり》1877年
群馬県立近代美術館(群馬/高崎)
この頃のルノワールは、細かいタッチを集積することでレース地や滑らかな肌を形作る陰影を描きました。
ピンクで血の巡りの良い溌剌とした少女の肌と、それを見守る男性の柔らかな様子が親しみを込めた視線で描かれています。少女は幾度となくルノワールのモデルとなったマルゴと、ルノワールの弟エドモンでした。
自身と親しい家族や友達を繰り返し描いたルノワールは、日本でも最も人気の高い画家の一人です。
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マネ《自画像》
エドゥアール・マネ《自画像》1878-79年
アーティゾン美術館(東京/京橋)
マネは、近代都市パリの風俗を描いたことで知られますが、肖像画の名手でもありました。そのようなマネの油彩による自画像は2点しか残されていません(もう1点は個人蔵)。
世界で2枚しかない絵画のうち見ることのできる1枚が日本にあるのは、とても貴重なことでしょう。
この作品の暗い無地の背景は、当時パリで流行していたスペイン絵画からの影響を感じさせます。
画家の表情は細かいタッチで丁寧に仕上げられていますが、背景や手足などの部分はとても簡略化されたタッチで終わりになっています。
マネの熟達した簡略化の技術は、印象派の父とも呼ばれる彼の新しい芸術を感じさせます。
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アンソール《仮面の中の自画像》
ジェームズ・アンソール《仮面の中の自画像》1899年
メナード美術館(愛知/小牧)
仮面や骸骨をモティーフにして特異な想像力を発揮させたベルギーの画家アンソール。偉大な先人ルーベンスを彷彿させるこの自画像は、アンソール39歳のときに描かれたものです。
悪意や欺瞞が見え隠れするカーニヴァルの仮面に囲まれ、画家はこちらを見つめています。
ところどころに散りばめられた花飾りのため、作品全体はどこか祝祭的な印象を与えますが、画面を埋め尽くす仮面がこちら側に押し寄せてくるような異様な雰囲気をもっています。
アンソールの絶頂期を代表する傑作が日本で常設展示されているのはとても貴重なことです。
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ルーベンス《眠る二人の子供》
ピーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》1612-13年頃
国立西洋美術館(東京/上野)
ルーベンスは17世紀フランドル美術・バロック絵画の代表的画家です。
あどけない寝顔を見せるこの子供たちは、画家の兄の子、クララ(右)とフィリップ(左)と考えられています。
素早い筆致で仕上げられた本作は、本作品に入る前の習作と考えられています。
技法的にも、透明色と不透明色との巧みな使い分け、明暗の色調や絵具の厚みの差などによって対象を見事に描出するルーベンスの生彩ある写実法が、よく発揮された作例です。
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