「アートオークション」というと、「何億円もの作品が落札される、世界の大富豪が参加するもの」といったイメージがなんとなくあるかもしれません。
日本では、まだまだアート作品を「買う」ことが一般的な感覚ではないかもしれません。
しかし、実は国内で誰でも気軽に参加できるオークションもたくさん存在しています。
今回は、世界のアートオークションの歴史から、日本国内の身近なオークションまでご紹介します。
アートのオークションとは?
オークションの歴史
アートオークションの歴史は古く、有名なオークション会社「サザビーズ」の設立は1744年。書籍のオークションから始まった世界で初めての競売会社です。
1766年には、美術商が創設した「クリスティーズ」が設立されます。
この2社は「2大オークションハウス 」と言われ、世界の美術市場を牽引しています。
サザビーズ、クリスティーズなどの大手オークションハウスは、現在では世界の主要都市に支店を持つまでに成長し、世界中のアートコレクターたちを集めてさまざまなオークションを開催しています。
アートオークションの人気沸騰
2022年には、美術市場全体の総売上高が各所で史上最高額を更新しました。
クリスティーズは84億ドル(約1兆1121億円)と、前年と比較して17%増加しています。
サザビーズも80億円(約1兆800億円)と、創業278年以来最高額を更新しました。
今、美術市場は過去最高の人気を集めています。
オークションで出品されるもの
オークションには絵画、陶芸、宝飾などさまざまな美術品が出品されます。ジャンルも現代美術から古典、骨董までバラエティーに富んでいます。
アートオークションの仕組み
アートオークション - 売る側の流れ
オークションで販売されているのは、すでに販売され所有されていた作品です。
このような美術品を扱う市場を「セカンダリーマーケット」と呼び、反対に、作家が作ってから最初に販売するギャラリーなどの市場を「プライマリーマーケット」と言います。
従来は、作品を所有するコレクターが売却を希望すると、アートディーラーが仲介してオークションに出品します。
しかし、今はディーラーを介さずに自分で出品をするコレクター、またアーティストが自ら自作を出品するという場合も増えています。後者の場合、セカンダリーではなくプライマリー市場としてアーティストが利用しているということになります。
アートオークション - 買う側の流れ
オークション開催前に、基本的には下見会が実施されます。
この時点でめぼしい作品に見当をつけておき、当日のオークションに臨みます。また、カタログを介して事前検討を行うことも可能です。
オークション参加者は、その場で、もしくは電話やインターネットを介して参加することができます。
会場で参加する場合は、会場入り口などで配布されるパドル(札)を掲げて入札の意思を表示します。
また、会場での参加が難しい場合には、事前に「最高限度額」を伝えた上でオークションハウスが用意する代理人に入札の委託をすることもできます。
さらに、大手のオークションハウスではブラウザを通したライブオークションも用意しています。
動画を視聴するのと似たスタイルで、離れた場所からでも参加が可能です。
オークションの場では、最低価格が設定され、そこからだんだん入札者が言い値を上げていき、最高額を提示したと判断された時点で落札が決定します。
信頼性の高さ
オークションハウスが主催するオークションでは、事前に専門家による鑑定が入るため、非常に信頼性が高いのが特徴です。
また、競り形式で常にオープンな状態であるため、価格に関しても非常に透明性が高いと言えるでしょう。
アートオークションの注意点
一つ注意しなければならないのは、落札額にはほとんどの場合オークション手数料が含まれていないということです。
落札額と、落札額の15 ~ 20%ほどの手数料およびそれに伴う消費税が上乗せされた金額が、最終的に落札者が支払う金額となります。
世界の有名オークションハウス
クリスティーズ
サザビーズと並ぶ世界2大オークションのひとつクリスティーズ。
ルネサンス期の名画から現代アート、宝飾品、時計、ワインなど80種類以上を取扱い、超一流の芸術品が出品されます。
特に第二次世界大戦前の作品には定評があります。
近年でもダヴィンチ作とされる「サルバトール・ムンディー」が、約508億円で落札されるなど話題をよびました。
1766年にロンドンで創業したクリスティーズは、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ジュネーヴ、アムステルダム、ローマ、ミラノ、香港、シンガポール、バンコクなど世界の主要都市にオークションハウスを展開しており、美術界をリードするオークションハウスです。
クリスティーズ公式サイト
サザビーズ
サザビーズは、1744年に世界ではじめてロンドンで創業した老舗美術品オークション会社で、現在はニューヨークに本部を置き、ヨーロッパ、中国、中東など世界各地に拠点があります。
クリスティーズとともに、オークションハウスの代名詞になっています。
各国の第一級の美術品、宝飾品、アンティーク、ワイン、自動車などを取り扱い、現代アートに強いことでも知られます。
日本の実業家前沢友作氏がバスキアの作品を123億円で落札したのもサザビーズオークションです。
また世界で初めてインターネットオークションを開催するなど、先端技術を取り入れるのにも積極的です。
2019年には帝国ホテル内に東京オフィスを開設。日本にいながら世界的オークションへの参加が身近になりました。
サザビーズ公式サイト
フィリップス・オークショニアーズ
1796年にロンドン・ウエストミンスターで創業。
マリー・アントワネットの邸宅の絵画やナポレオンの家庭用品を扱ったことで有名になり、バッキンガム宮殿内で販売を行った唯一のオークションハウスでもあります。
特にヴィンテージ時計のオークションには定評があり、近年ではコンテンポラリーアートの分野でも注目されています。
また、アジア市場に力を入れており、香港、ジャカルタ、シンガポール、東京などにギャラリーを持ちます。
フィリップス公式サイト
ヘリテージ・オークションズ
1976年に設立されたアメリカ生まれのオークションハウス。
アンティーク通貨の分野では他の追従を許しません。
美術品の他、コミックアートやスポーツカード、URLドメイン、高級不動産などユニークな分野のオークションも展開しています。
Webで出品作品すべてを見ることができるようになっており、高い落札率を誇ります。
ヘリテージ・オークション公式サイト
ボナムス
1793年、ロンドン・コベントガーデンで創業した個人所有の国際オークションハウス。
美術品や骨董品、自動車、宝飾品など、60ものカテゴリーで年間400以上のオークションを行っています。
特にヴィンテージカーの分野では業界一の強さを誇り、また、アジア美術にも定評があります。
ボナムス公式サイト
日本の有名オークションハウス
SBIオークション
2011年に設立したSBIグループが運営するアートオークションです。
現代アートに特化しているのが特徴で、絵画、写真、デザイン、工芸など有名作家から若手作家まで出品されるオークションを年に4~5回開催。
新人作家の発掘や新たなコレクターのオークションへの参加にも積極的に取り組んでいます。
SBIオークション公式サイト
シンワオークション
1989年に創業した美術品業者交換会「新和会」から発展した日本初の本格的なオークション会社です。
日本画・洋画・外国絵画・彫刻・版画・戦後美術&コンテンポラリーアートなどを中心に、陶芸など工芸品、宝飾、近年ではワイン、マンガなど、年間20回程度のオークションを開催しています。
アート界を牽引する作家の作品から、オークションの種類によっては落札予想価格2万円からという作品まで幅広く扱われ、透明性の高い取引からコレクターや画商が多く参加します。
シンワオークション公式サイト
毎日アートオークション
毎日新聞系列の国内有数のオークション会社です。
誰でも参加できる欧米型公開オークションの老舗です。
絵画、工芸、古美術、ジュエリー、時計、家具などは幅広い分野のオークションを年間30回以上開催しています。
1回のオークションで平均1200点が出品され、数多くの作品から選ぶことが出来ます。
取扱量、出来高は業界トップ。ジュエリー、時計のオークションは特に定評があります。
毎日アートオークション公式サイト
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