昨今、デザインやイラストのみならずファインアート（純粋芸術）の領域でも大きな活躍を見せているイラストレーターたち。
トップのプレイヤーは、現代アーティストとの線引きが曖昧になっています。
村上隆が形式立てた「スーパーフラット」を拠り所とするアーティストや、独自の文脈で活動を展開するアーティストの中でも、特に女の子をテーマにした魅力的なイラストを発表しているアーティストをご紹介します。
イラストレーターとアーティストの違い
イラストレーターの仕事内容
イラストレーターは、雑誌やWebなど依頼を受けたさまざまな媒体にその趣旨に合ったイラストを描く職業です。クライアントの要望に添ったオリジナリティのあるイラストを描くことが求められます。
イラストレーターの仕事では単にイラストを描くだけでなく、イラストを通じてクライアントの考えるメッセージを必要な人に伝えていくことが求められます。
ひとことでイラストと言っても、雑誌や書籍といった印刷物の挿し絵から、ポスターやチラシのように広告として用いるもの、webアプリケーションやソーシャルゲームのビジュアルに用いるものや、説明書などで手順や機能を説明するためのものまで、様々な目的があります。また、そのテイストも漫画のようにデフォルメしたものから、リアルなものまで、多岐にわたります。
AIが生成したイラストレーション
イラストレーターに必要なスキル
イラストレーターになるために、絶対に必要な資格や学歴はありません。しかし、美術系の大学や専門学校のイラストレーション科に進むと、必要な知識やスキルを効率よく身につけられるでしょう。
まずは、構想したものをしっかりと伝える表現力が必要になります。外観や機能を正確に伝えるデッサン力や、デザインや色彩によって伝えたい部分を強調して表現する力が求められます。
また、近年はデータでの納品を求められる事が多く、制作にもデザインソフトを使用するのが主流になっています。PhotoshopやIllustratorなどのデジタルツールを自在に使いこなすスキルが必要です。
さらに、イラストにも流行があるので、普段からアンテナを張ってトレンドを掴む必要性も。一方、流行を取り入れつつも、オリジナリティを持つことがとても重要です。
イラストレーターとアーティストの違い
ここまでイラストレーターの仕事を見てきましたが、それではイラストレーターとアーティストの違いはなんなのでしょうか？
一言で言えば、作品の出発点がクライアントであるか制作者であるかの違いです。
上記でも確認したように、クライアントが何かしらのクリエイティブを求めていて対価とともに仕事を発注する場合は、イラストレーターとしての作品になります。
そして、自分の表現したいことや自分が主張したいこと・見せたいことを形にしたものがアート作品となり、そのときイラストレーターはアーティストになります。
したがって、同じ一人の創作者がイラストレーターであるときもアーティストであるときも両方あるというのはごく普通のことなのです。
多くの場合はその両輪をうまく使い分けながら制作活動を続けている方が多いでしょう。
女性／女の子をテーマを描いている有名現代アーティスト
日本では、独自のカルチャーの発展とともに、それをサブカルチャーから昇華させてマーケットで高額の取引がされるほどの評価を受けているアーティストがたくさんいます。
①Mr.（ミスター）
「よしっ（ち）！！」
Mr.は、村上隆の一番弟子です。村上が提唱した「スーパーフラット」の概念を基盤としつつ、自身のライフワークとしての少女のドローイングを発表し続けています。
彼は、美少女アニメ風に描いた『萌え』のイメージをアナログで描きなおします。彼の作品は、ロリータ・コンプレックスとしてのオタク文化を現代アートの文脈に位置付けた第一人者として世界でも高く評価されています。
2011年に東日本大震災被災者支援のためのオークションに「よしっ（ち）！！」を出品し、15万2,500ドル（約1800万円）で落札されたことが話題になりました。
サザビーズやクリスティーズなどの大手オークションにて、数千万円単位で落札されている作品も多くあります。
グッチ銀座店「GUCCI 4 ROOMS」でのインスタレーション
公式インスタグラム
②愛☆まどんな
加藤愛は、2007年より「愛☆まどんな」 と名乗り秋葉原の路上を中心にライブペインティングを始動しています。
現在は、アクリル絵画を中心に制作。国内外問わず展覧会やイベントにて活動しています。
加藤の制作のベースとなっているのは、幼少期の記憶です。幼い頃に惹かれた少女たちの体は、憧れか性的か、いまだ曖昧な境界線に存在しながらも、加藤の中に鮮烈な記憶として留まり続けています。そんな女神のような存在でもある「美少女」を、加藤はコンプレックスとストレスに陥った少女時代に、自分自身を応援するために描き始めました。
公式ホームページ
③KYNE（キネ）
福岡を拠点とするアーティスト。
大学時代に日本画を学び、在学中から発表を続けています。
2010年頃から、クールな表情の女性を描く現在のスタイルを確立。国内外で注目を集めています。
公式ホームページ
④山口真人
「トランスリアリティ（現実の向こう側の現実）」をテーマに、セルフィー（自撮り）をする女性をクールキュートに描きます。
アパレルブランドとのコラボレーションも積極的に行っており、今注目の集まるポップアーティストです。
公式ホームページ
TRiCERA おすすめイラストレーター
専門的な美術教育は受けず、独学で2019年に絵を描き始めた中居ベル。
可愛らしさと楽しさ、鮮やかさをベースとしながら、少女漫画とコンポジションアートの融合によって新しい価値を生み出しています。
中居ベルの作品は即完売してしまうため、コミッションワーク（受注制作）の受付もしています。
可愛くてクールな女性のイラストで人気を集めるいちごもち氏。
近年は初個展を開催したり、国内のみならず中国や台湾などでも多くのファンを獲得し、活躍の場を広げています。
講談社主催のミスiD2019にて2部門の賞を受賞。
ILLUSTRATION2020に掲載され、2020年のイラストレーションの今を象徴する作家の1人として選ばれた経歴を持ちます。
2021年度より京都芸術大学イラストレーションのコース非常勤講師を務めています。
崩壊と生成をキーワードに、顔の造形が崩れた少女等をモチーフとした、細かい線描を交えたペインティング作品を中心に発表しています。
作品は発表してから即完売が続き、今最も手に入れにくい人気作家の一人となっています。
レトロとモダンを組み合わせた「ありそうでない世界」と、そこで暮らすキュートなカップルや女の子のイラストで大人気のイラストレーターです。
どこか1980～90年代初期を思わせる懐かしさが多くの人の共感を呼んでいます。
「境界」をテーマに、東洋的な美意識の境界、その探究と融合を目指し制作を行っています。
精緻なグラデーションと可愛い女の子を武器に、江戸時代以前の日本画も含めた「日本画」というカテゴリーでの表現を更新しようと試みています。
1990年大阪生まれのサワダモコは、大学在学中から本格的な作家活動を開始。
デジタルのグリッチで歪んだ少女や風景のイメージを繰り返し描いています。同世代を中心に人気が高まっているアーティストです。
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