世界で有名な絵画。改めて言われると、私たちはそれを全部知っているでしょうか?
今回は歴史に残る世界の有名絵画を10枚ご紹介いたします。
①モナ・リザ
作者: レオナルド・ダ・ヴィンチ
制作時期: 1503 〜 1519
所蔵: ルーヴル美術館(パリ)
誰もが知る世界の名画といえば、まず間違いなく《モナ・リザ》がナンバーワンと言えます。
15から16世紀にかけて花ひらいたイタリアン・ルネサンス期に活躍した万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれたこの作品は、その不思議に魅力的な微笑みで今日も世界中からの観光客をパリに集めています。
この絵画のモデルは、リサ・ゲラルディーニ・ジョコンダ夫人という、フィレンツェの大商人フランチェスコ・デル・ジョコンダの妻だと言われています。しかし、モデルについてはいまだに謎が多く、ジョコンダ夫人説もまだ仮説の域を出ません。
キアロ・スクーロという技法で何度も透明な絵の具を塗り重ねることにより実現している精妙で美しい陰影と、手前の女性の描き方と背景の雄大な自然のコントラストは、イタリアン・ルネサンスを代表する作品として高く評価されています。
②最後の晩餐
作者: レオナルド・ダ・ヴィンチ
制作時期: 1495 〜 1498
所蔵: サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(イタリア・ミラノ)
レオナルドが名画のトップ2を占めています。人類史上最大の天才とも呼ばれる彼の業績は大きなものでした。
当時のヨーロッパではキリスト教の宗教画が最も一般的な画題でした。
この壁画はイエスが12人の弟子たちにパンを分け与えながら、この中に裏切り者がいる、と伝えている場面です。このあと、イエスは裏切りを粛々と受け入れ、自らをかけるための十字架を背負ってゴルゴダの丘に登ることになります。
③星月夜
作者: フィンセント・ファン・ゴッホ
制作時期: 1889
所蔵: ニューヨーク近代美術館(MoMA)
劇的な人生を送ったことでも知られるフィンセント・ファン・ゴッホの代表作は、近くで見るとほとんど抽象画のように絵の具の質感が強く見えてきます。
彼の代表的な作風である、筆致がそのまま厚い絵の具に残っているような強い質感が、この絵においては糸杉や青く暗い空に輝く星と月の輝きとなっています。
まるで絵本の中の世界かのような夜の星空は、見るものに安心感を与えつつも、作者ゴッホが作品を描くときの圧倒的なエネルギーをも感じさせます。
ゴッホがこの作品を描いた時、彼はサン・レミという精神病院で療養生活を送っていました。病室の窓から見える風景をもとに、この絵画が描かれたと言われています。
④叫び
作者: エドヴァルド・ムンク
制作時期: 1893
所蔵: オスロ国立美術館(ノルウェー・オスロ)
世界的に有名なムンクの《叫び》は、実は一つの作品だけではありません。油彩画、パステル、リトグラフ版画などで複数の習作が残されています。
パステル画は、2012年のオークションでおよそ96億円で落札されました。
この作品は盗難被害にあっており、無事に見つかった後に世間での知名度が上がりました。
絵文字にも影響を与えるほどのアイコニックな魅力を備えた作品です。
⑤ゲルニカ
作者: パブロ・ピカソ
制作時期: 1937
所蔵: ソフィア王妃芸術センター (スペイン・マドリード)
このリスト中で最も新しく制作された作品です。
《ゲルニカ》は、スペイン内戦時に、スペイン東北部に位置するバスク地方の街・ゲルニカ市をドイツ軍が絨毯爆撃した時の要するを描いています。
ピカソはキュビズムなどの手法を発明したことで有名な画家ですが、《ゲルニカ》においてもその特徴的な描き方は保持されています。
20世紀の人類の過ちを今に伝える芸術的な遺産として、戦争の恐ろしさを表現しています。
この作品は、第二次世界大戦時は安全のためニューヨーク近代美術館に一時保管されていました。ピカソ自身は、スペイン国内に民主政治が戻るまで作品はニューヨークに置いてくれと要請していました。
スペイン国内を独占支配していたフランコが亡くなり民主政に戻った1981年に、《ゲルニカ》はようやく帰国しました。
⑥接吻
作者: グスタフ・クリムト
制作時期: 1907 〜 1908
所蔵: ベルヴェデーレ美術館 (オーストリア・ウィーン)
《ゲルニカ》では人類の暴力性が描かれましたが、《接吻》では人類の愛が描かれています。
クリムトの「黄金期」と呼ばれる時期に制作されたこの作品は、等身大に描かれた2人の恋人を包む金箔をふんだんに使ったローブが特徴的です。過度な装飾はビザンチン美術の影響が、そして平面的に衣服の模様を表現するのは日本画の影響が見られます。
この作品は美術館に収蔵されオークションにはかけられていませんが、クリムト作品はしばしばオークションで超高額の値段をつけることで有名です。
⑦真珠の耳飾りの少女
作者: ヨハネス・フェルメール
制作時期: 1665
所蔵: マウリッツハイス美術館(オランダ・ハーグ)
謎の少女を描いたこの小作品は、《モナ・リザ》とよく比較されます。
しかし、《真珠の耳飾りの少女》は実は実在の人物ではなく、想像上の女性だと言われています。
ブルーとゴールドのターバンを頭に巻いて、大きな真珠の耳飾りをつけた少女は、真っ暗な背景を背にしてとてもシンプルな構成のもと描かれています。
よく見るとこの作品はピンボケ的な描写もされています。フェルメールは、一説によると「カメラ・オブスキュラ」というカメラの原型の部屋を使って描いていたとも言われています。現在のように感光紙に感光させる写真技術はまだ大きく発展していませんでしたが、この部屋でキャンバスに直接外の風景を投影することで下描きなしで描いていたとも考えられます。
⑧ヴィーナスの誕生
作者: サンドロ・ボッティチェリ
制作時期: 1485
所蔵: ウフィッツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
イタリアンルネサンスの3大画家の一人ボッティチェリによるこの絵画は、テンペラ絵具という卵と顔料を混ぜて作る絵の具で描かれています。
当時のフィレンツェを拠点にして様々な芸術支援活動をしていた大富豪のメディチ家から依頼されて制作されたと考えられています。
巨大なホタテ貝から生まれたヴィーナスは、ゼピュロス(西風)が画面左手から吹く風によって騎士に吹き寄せられています。
ヴィーナスの体は、レオナルド・ダ・ヴィンチやラッファエッロの作品に見られる厳格な古典的リアリズムとは一線を画しています。それが最も顕著なのは、ヴィーナスの首は現実にはあり得ないほど長く、左肩の傾きは解剖学的にあり得ない角度をしている点です。
そういった描写はただ絵画において美を強調するためだけであり、後の様式であるマニエリスムに通じるものがあると言えます。
⑨ラス・メニーナス
作者: ディエゴ・ヴェラスケス
制作時期: 1656
所蔵: プラド美術館(スペイン・マドリード)
世界有数の巨大美術館であるプラド美術館の中でも大目玉作品と言える本作は、巨匠ヴェラスケスにより描かれました。皇室家族と画家自身を描いたこの作品の中で起こっている複雑な出来事に、多くの美術史家たちが魅了され読解を試みてきました。
数多くの画家に影響を与えてきたことで知られるヴェラスケスの絵画。非常に写実的な落ち着いた画面に見えますが、近くで見ると、必要最小限の手数で省略や描き方の工夫により最大の効果を生み出していることがわかります。
⑩アダムの創造
作者: ミケランジェロ・ブオナローティ
制作時期: 1508 〜 1512
所蔵: システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)
この作品が描かれているシスティーナ礼拝堂の内部は、彫刻家としても名を馳せたミケランジェロが膨大な時間をかけて描き切った壁画・天井画によって埋め尽くされています。旧約聖書からの聖書の物語や神々を一つ一つ描いた礼拝堂の絵画の中でも、《アダムの創造》は天井に描かれいてるため、実際に礼拝堂で見る際には見上げなければなりません。
もう一つの彼の有名作品《ダヴィデ像》にも見られるような、筋骨隆々とした美しい肉体表現はミケランジェロ独自のものと言えます。
ちなみに、システィーナ礼拝堂の天井は長年の蝋燭のススにより非常にダメージを蓄積していました。
1989年に完了した修復作業は膨大な時間を必要とし、輝きと鮮やかさを取り戻した元の絵画を見て人々は非常に驚いたと言います。
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