現代アートが誕生するまでの歴史
「難しい」「理解できない」という枕詞がよくつく現代美術/ 現代アートというもの。
どこからとっつけばいいかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
アートは、実は文字で歴史が語られるよりも昔から残っている、人類最古の活動でもあります。
今回は、歴史を辿りながら現代アートに至るまでの道のりを展望してみましょう。
先史時代
文字すらも発明されていない場合、人類は洞窟の壁に動物のスケッチを残していました。
アルタミラやラスコーの洞窟壁画が有名です。
洞窟壁画が、当時どのような役割を持っていたのか…小さなコミュニティの中で、信仰を支える聖書のような役割をしていたのか、それとももっとライトな手遊びだったのかは、まだはっきりとわかっていません。
しかし、言語や文字との関係で考えると、識字ができるようになる人類が一定以上になるのは有史以来であるため、物語を伝えるために壁画を使っていたのというのはもっともらしい話です。
古代〜中世〜ルネサンス
西暦1000年以前から中世にかけては、キリスト教以外の宗教においては神的存在の偶像化を禁止しているものが多かった、もしくは儀式で代用していたために、美術作品と呼べる形で後世に残されたものはキリスト教美術が大多数です。
中世のイコン画においては、写実的描写というよりは、直線や人間らしい形態を強調したものに付与される神聖性が重視されました。
古代ギリシャにおいては、非常に均整のとれた彫刻群が残されています。
絵画もおそらく描かれていたと考えられていますが、当時のメディウム(作品を表現する媒体。彫刻なら木材・石材、絵画ならキャンバスや絵具)の中では彫刻に使われていた大理石が最も耐久性が高く、現代まで残存しているのだと考えられます。
14 - 15世紀に入り、ルネサンス(人文科学復興)前後の時代になると、デューラー、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどに代表される大芸術家が登場してきます。
この時、それまで何となく捉えられていた「透視図法」が定式化され、人間の目から見える風景とその遠近による歪みを正確に捉えることが可能になってきました。
19世紀
さらに19世紀になると、新古典主義などにより一目で見て美しいと思われるような絵画作品が次々と生まれるようになります。理想化された美の概念が、究極まで高められた時代といえます。
印象主義はこれに対抗し、瞬間に見える光や空気の移ろいなどの現象を捉えようとします。そのために必要だったのが、チューブ入りの絵の具でした。それまでは豚の膀胱に入れられ、使用期間も非常に限られていた油絵具という道具は、どうしてもアトリエ内で使用することしかできませんでした。そのため風景画でも、現地ではスケッチのみに留めておいて、絵の具を使うのはアトリエに帰ってきてからということになります。
しかし印象派の画家たちは、チューブ入りの絵の具を最大限に活用し、野外で直接油絵を仕上げるというスタイルを生み出しました。これにより、どんな風景が私たちの目に映っているのか、何がリアルな光景なのか、というイメージを彼らは刷新したのです。
20世紀
さらに20世紀に入ると、より「絵画」それ自体に価値を見出すような態度が台頭してきました。
抽象表現主義、キュビズム、ダダイズム、もの派など、それぞれの美術運動によって「アート」の概念が常に新しく更新されてきました。
その中でも、20世紀前半にマルセル・デュシャンにより「見ること」よりも「考えること」をアートという活動の中心に据えるという視点の大転換が行われたのが最大の転換点といえます。
古代から続いてきた美術の歴史の中でも、自然現象や技術の発展など純粋な芸術領域の外からの影響により起こった変化を除けば最も大きな革命であったと言えるかもしれません。
現代アートとは
結局、現代アートとはなんだったのでしょうか?
作品はさまざまなコンセプト、背景、物語に基づいて内容を持っています。そして、それはどのような形によっても表現されます。
目に見えるものは一つもないのに、「これは現代アート作品だ」と皆が認めたくなるような作品もあるでしょう。
その作品によって引き起こされた鑑賞者の頭の中の創造的行為が、フィードバックループのように作品を作品たらしめているのだともいえます。
そして、アートの歴史は常に一段一段階段を上方向に築いていくことで成立しているものではない、というのも大きなポイントです。
もちろん、コンセプチュアル・アートなどの抽象度の高い分野は、それまでの視覚芸術があるからこその存在です。
しかし、それは必ずしもコンセプチュアルな面を全面におしだしている作品が「優れていて」「新しく」「価値がよりある」ということを意味しません。
古代の洞窟壁画という芸術も、現代のメディア・アートなどとも同列に語れるような、時代の離れたアートでも同列に価値を与えられるような価値体系が、アートの中にはあります。
現代アートの楽しみ方
作品のコンセプトを知る
今までは色が綺麗、技巧が素晴らしいといった価値観を持っていた美術の世界は、デュシャン以降コンセプト重視に変わりました。
目から得られる情報だけでは作品を理解することは難しいので、作品のコンセプトを理解するためにも政治や宗教、社会背景などを理解する必要があります。
ジョセフ・コスースの作品「1つの、そして3つの椅子(1965)」においては、壁の前に置かれた平凡な椅子と、同じ椅子の写真、そして辞書に載っている「椅子」という言葉の定義を書いた文章が壁に掲げられています。
椅子という身近なモチーフを使って、言語で話している「あの椅子」、目の前に見えているはずの「この椅子」、写真に撮った「その椅子」には、何が共通しているのか。そんな問いかけをしているように思える作品です。
鑑賞者に、日常では当たり前に感じていて疑問にも思わないような問いかけをしてくる作品です。まさに現代アートの象徴とも言えるようなコンセプチュアルな作品でしょう。
トライセラおすすめ作品
弊社TRiCERA ARTにも、主に絵画をメディウムとしながらも深いコンセプトに基づいた現代アート作品が多数存在しています。今回はその中から、厳選した3作品をご紹介いたします。
c by Yang, Woon-Chul
W 53.00cm x H 45.00cm|¥256,200
DW_04 by Chizuko Ninomiya
W 91.00cm x H 91.00cm|¥150,000
空ろの間 #24 by Kazunori Fuji
W 65.20cm x H 80.30cm|¥120,000
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