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モンドリアンとは？抽象画の創始者の魅力をわかりやすく解説！

2023/03/15 TRiCERA ART

モンドリアンとは？生い立ちと初期の画業

ピート・モンドリアンは19世紀末から20世紀に活躍したオランダ出身の画家です。
抽象画の黎明期に活躍し、ロシア系の画家カンディンスキーなどとともに抽象の父と呼ばれるような存在です。
モンドリアンは、「デ・ステイル」という芸術雑誌を創刊し、それらの中で「新造形主義（ネオ・プラスティシズム）」という美術理論を提唱したことで知られています。

彼の作品は非常にシンプルな黒い線と鮮やかな塗り分けがされた「コンポジション」というシリーズが有名です。
オランダのアムステルダムで過ごした画業初期には、写実主義的な伝統を踏襲した画風でした。この頃からのちの抽象につながるような色彩を重視した表現の片鱗が現れています。

Evening; Red Tree, 1908 - 1910

モンドリアンは、オランダのユトレヒトで1872年に生まれました。
若い頃から神秘主義や神智学に惹かれていました。
アムステルダムの美術学院で学び、自然主義、印象主義、フォーヴィズムにも影響を受けた作品を作っていました。

パリ時代

1911年になるとパリに移住し、現地の前衛芸術家アヴァンギャルドの集団に参加します。
この時彼は自らの姓の本来のオランダ語綴り "Mondriaan" から "a" を一つ抜き、"Mondrian" として活動するようになります。オランダからの別離を象徴する行動でした。

パリでは、ピカソやブラックらのキュビズムの影響が色濃い制作を行いました。

Gray Tree, 1911

再びオランダへ

キュビストたちとは異なり、スピリチュアルなものや神智学に傾倒していたモンドリアンは、象徴主義的な制作から抜け出そうとします。
1914年にオランダに一時帰国した際に第一次世界大戦が勃発し逗留を余儀なくされた彼は、結局戦争の集結する1918年まではオランダにとどまることになりました。

この期間に出会った画家に、バート・ファン・デル・レックなどがいました。彼の原色の使い方はモンドリアンに大きな影響を与え、このような言葉を残しています。

「僕の描き方は大なり小なりキュビズム的だった。だから多少風景的な絵だったんだ。しかし、彼（ファン・デル・レック）の精確な手法に大きな影響を受けたんだ」

ファン・デル・レックの作品
ファン・デル・レックとモンドリアンは、共同で「デ・ステイル」という芸術雑誌を創刊しました。その中で、モンドリアンは原色や黒、白と直線などの限られた要素のみを使うこ手法を「新造形主義（ネオ・プラスティシズム）」として美術理論に昇華しました。

新造形主義とは

モンドリアンが新提唱し、そして追求した造形主義の要諦はブレマーという友人の画家に宛てた手紙に書かれています。

「私は、線と色彩のコンビネーションを平らな表面に構築する。それは最大の集中力で普遍的な美を表現するためだ。自然（もしくは、私が見るもの）は、私に霊感を与え、何かを創作する衝動を引き起こす。しかし、私はできる限り真理に近づいて、すべての要素をそこから抽出したいのだ。そして、それを支える基本的なものに到達したいのだ…それがまだ、表面的なものだとしても。

水平線と垂直線を明瞭な意志で、しかし計算的なものではなく、高尚な直感で描けば、調和とリズムをもたらすことが可能だと思う。その線が強度を持ち、神聖性を持つのは、それが芸術だということである。」

再びパリで

1918年に戦争が終結しパリに戻ると、1938年までの20年間をそこで過ごすことになります。
この時期からは、純粋な抽象画のみを追求して行くことになります。
1919年より「コンポジションシリーズ」と呼ばれるグリッドで構成された抽象画を継続的に制作し始めます。
大戦前後のモンドリアンの純粋抽象への変遷は、彼の継続的なモチーフであった木の絵画に象徴的に見ることができます。現実のモチーフの色や形を借りていたものが、だんだんと「絵画」でしかあり得ないものになっていく様は見応えがあります。

その後、ロンドンやニューヨークにも移住し、存命のうちに世界的な名声を得ることになります。
この時期の代表的な作品は「コンポジションシリーズ」や、マンハッタンの賽の目状の街の様子にインスパイアされた「ブロードウェイ・ブギウギ」などがあります。

Composition No. 10 (1939–1942)

New York City (1942)

Victory Boogie Woogie (1942–1944)

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