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抽象画とは？歴史や有名アーティストをわかりやすく解説！

2023/03/14 TRiCERA ART

抽象画とは、画面上の形、色彩や立体、また行為の痕跡などを、すべてそのもののためだけに描くような絵画のジャンルです。
抽象画は、目で見える現実の形・色・立体感をそのまま表現しようとはしません。
代わりに、画家がそこから感じた主観的なリアリティや、もっとシンプルに「こうやって筆を動かしたらこうなった」くらいのきっかけによって生まれた作品もあります。

そもそも「抽象」とはどんな意味？

厳密に言えば、「抽象」という言葉は、あるものから別のもの＝より高次元のもの、もしくはより基本的な要素を取り出すことを意味します。
そして、そのような「何かを引き出す」意味の抽象は、まさにアートにおける「抽象画」の意味に沿っています。抽象画は、物体や人物、風景などを単純化したり図形化したりしているものが多いでしょう。

純粋なものとしての絵画

抽象画の中で使われる幾何学的な模様や、落書きのような何かしらの行為の痕跡は、特に何のイメージソース（源）を持っていないこともしばしばあります。
アーティストの中には、抽象画というよりも、Concrete Art = 具体画や Non-Objective Art = 非客観的アートといった名称を好む人もいます。

抽象画は、「純粋性」や「精神性」といった性質と多くの場合結びついているため、ある種の美学、神性、道徳的なものの象徴と考えられることもあります。
20世紀初頭から始まった近代美術の最大の潮流といっても過言ではない、アート界の中の巨大な流れを成しているのが抽象画です。

ここからは、代表的なアーティストともに実際の抽象画作品を見ていきましょう。

ワシリー・カンディンスキー

カンディンスキーは、抽象画の創始者とみなされています。
ピエト・モンドリアンやカジミール・マレーヴィチとともに抽象絵画の先駆者と考えられていますが、ナチス占領下のフランスに滞在したため、作品の展示を禁止されたりと不遇のまま亡くなりました。
ある時アトリエにかかっている絵が「内的な輝き」を放ち、何が描いてあるかはわからないが、形と色だけで絵が成立している、というふうに感じました。
実は、それは自分の絵が逆さまにかかっていただけだったのでした。
それ以来、彼はモチーフ（描かれる対象物）が不必要であると悟り、純粋に美しい絵画を目指しました。

Wassily Kandinsky, Cossacks (1910–1)

カジミール・マレーヴィチ

マレーヴィチも、抽象画の黎明期にその礎を築いた人物です。
最も有名な「黒の正方形」という作品は、白地の背景に黒い正方形だけを描いたもので、今日の抽象画の出発点の一つとなっています。1915年には純粋性を絶対とする絵画理論「シュプレマティズム宣言」を発表し、抽象絵画という大きな美術運動ののろしをあげることになります。

Kazimir Malevich, Black Square

Kazimir Malevich, Dynamic Suprematism (1915 or 1916)

ジョアン・ミロ

ミロは自然豊かな小村で育った経験から、風景を細密に描写する細密主義から作風をスタートさせました。1924年のシュルレアリスム運動をきっかけにシュルレアリスムに傾倒し、その後はコラージュや彫刻など抽象的な芸術を中心に手がけた芸術家です。豊かな色彩と激しくデフォルメされたモチーフを特徴としています。

Joan Miró, Painting (1927)

モーリス・ルイス

ルイスは、カラー・フィールド・ペインティング（色面による場＝フィールドの絵画）の画家と呼ばれています。この作品は、生のカンヴァスの上に流動性のあるアクリル絵具を垂れ流して、絵具をカンヴァスの地に染み込ませるステイニングと呼ばれる手法で制作されています。
彼ら以降のアメリカン・モダニズムにおいては、カンヴァスの物理的な特性に従い、画面の「平面性」を厳格に確保することに価値がおかれました。

Morris Louis, Alpha-Phi (1961)

ピエト・モンドリアン

美術運動の「デ・ステイル」の共同創設者として、「普遍的な美」を追求しました。
非具象的な表現を発展させ、「新造形主義」（ネオプラスティシズム）と名付けたアーティストとしても有名です。

Composition B (No.II) with Red 1935

Broadway Boogie Woogie