現代アーティストの中でもトップランク中のトップ、村上隆。
ルイ・ヴィトンとのコラボなどでもご存知の方も多いでしょう。
今回は、彼の何が革新的だったのかを知るための10個の事実をお伝えします。
①現代のテクノロジーと伝統的日本画の技法
日本のアーティスト、村上隆は視覚的に現代的で活気に満ちた作品で知られていますが、彼はより繊細なコンセプトと伝統及び現代性の間のコントラストのはざまで試行を繰り返しています。
技術的な面では、最先端の技術を駆使したメディアや素材を用いると同時に、金箔画のような日本古来の芸術的技法を利用することもあります。
また、造形的なレベルでは、仏教の図像とアニメのヒーローがキャンバスを共有する、ほとんど幻覚的ともいえる色彩豊かな世界を創り上げています。
また、尾形光琳のような伝統的なものから、スタンリー・キューブリックのような現代的なものまで、様々なアイディアのリソースが含まれています。
②スーパーフラット
村上隆は、「スーパーフラット」という芸術運動の提唱者です。
2001年、東京で開催された展覧会で初めてこの言葉が使われ、日本の伝統芸術の歴史を通して、日本の現代美術の起源を辿りました。
その中には、マンガやアニメにインスパイアされた日本のアートも含まれています。
「スーパーフラット」という言葉の中には、日本の絵画芸術の中に見られる平面性を意味する「フラット」という言葉があります。
この言葉は、日本の戦後消費文化の空虚さをも批判しているとも考えられます。
③アンディ・ウォーホルからの影響
村上隆のアートは、アンディ・ウォーホルの作品に強い影響を受けています。
実際、彼の2つの作品「Warhol/Silver」と「Warhol/Gold」は、ウォーホルの花のシリーズを直接的に参照しています。
これらの作品からは、ウォーホルの遺産に対する村上の深い尊敬の念が伝わってくるようです。
サラ・ソーントンの著書『Seven days in the Art World』の中で、ウォーホルについて尋ねられた村上は、その言葉に驚くべき不満をもって答えている。
「ウォーホルの天才性は、簡単に描ける絵画を発見したことです。私はウォーホルに嫉妬しています。「ウォーホルがあんなに簡単な絵を描けたのなら、どうして私たちの仕事はこんなに複雑なのだろう」と、いつもデザインチームに問いかけているんです。でも、歴史は知っている!
私の弱点は、東洋人であることです。東洋のテイストは、プレゼンテーションにこだわりすぎるんです。現代美術の戦場では不公平だと思いますが、日本人だから仕方がないんです」
④カイカイキキ株式会社
ウォーホルと同じように、村上もカイカイキキ株式会社という一種の工場を作り、そこで作品を生産し、帝国と化しています。
ニューヨークのジェフ・クーンズの工場のように、アーティストのアイデアを実現するために、何百人もの作業員がさまざまな工程をこなす生産現場です。
しかし、村上はこのアプローチをさらに推し進め、彼の代表的なモチーフであるフラワーアニメをプリントしたラグなど、数々のグッズを制作しています。
⑤ベルサイユ宮殿でのアニメ作品
ベルサイユ宮殿では、ここ数年、騒動を巻き起こした展覧会が2回ありました。
2008年のジェフ・クーンズの回顧展と、2010年の村上隆の展覧会です。
村上は22点の彫刻と絵画を発表し、そのうち11点はこの展覧会のために特別に制作されたものでした。
この展覧会は、Versailles mon AmourやNon aux mangasといった特定の活動家によって非難を浴び、彼らはこの展覧会を止めようとしましたが、失敗に終わりました。
⑥異なる理解度
村上の作品は、一見サイケデリックな率直さを表現していますが、行間を読むように私たちを誘い、しっかりとした絵画的な考察を提供しています。
彼の作品には3つの理解レベルが考えられます。
第一の理解レベル:村上にとって表面的で虚無を象徴するおたく、過激なアニメファンへの批判。この狂信的な狂気は、戯画と歪曲という彼の絵画的スタイルによって誇張され、嘲笑されていると言ってもいいでしょう。
第二の理解レベル:社会の消費主義文化とその製品が私たちの人格と行動に与える影響に紐づけた理解
第三の理解レベル:村上は、「ハイカルチャー」といわゆる「ローカルチャー」の間の結合を実現しています。
⑦DOB君
村上隆の代表的なキャラクターであるミスタードブは、1992年に発表されました。
バーバラ・クルーガーやジェニー・ホルツァーといったアーティストが初めて日本に紹介された時期に登場し、一種の自画像として用いられました。
彼らの作品の中心は「言葉」です。
社会的、政治的に批判的な彼らの作品は、村上にも影響を与えました。
ドブ君は丸い頭にミッキーマウスのような両耳があり、左耳にはD、右耳にはbの文字が刻まれています。
ドブとは、"ドボジテ、ドボジテ "というダダのようなフレーズを縮めたもので、"なぜ、なぜ?"という意味です。
村上はこの分身によって、日本的でありながら普遍性を持つアイコンを作りたいと考えました。
⑧ルイ・ヴィトン
2003年、マーク・ジェイコブスは村上に、ルイ・ヴィトンのクラシックなハンドバッグを再解釈するコラボレーションに参加するよう依頼しました。
このコレクションは、村上にとってクリエイティブな面で興味深かったようです。
ルイ・ヴィトンは、ロゴをさまざまな色で表現することを認めました。
さらに、現代アーティストと高級ブランドのハイブリッドなコラボレーションから生まれた融合は、アートとファッションの世界における革命となったのです。
⑨ポップ・ミュージック
アートやファッションの他に、村上は音楽とオーディオビジュアル作品も制作しています。
最初のミュージックビデオは2007年のカニエ・ウェスト、最近ではファレル・ウィリアムスのために制作しました。2014年9月には、ファレルの楽曲「It Girl」のPVを監督し、歌手に自分のアニメキャラクターを登場させています。
⑩マイ・ロンサム・カウボーイ
2008年5月、村上は世界で最も高価な存命中のアーティストの一人となりました。
彼の彫刻作品「My Lonesome Cowboy」(1998年)が、クリスティーズのオークションで1500万ドル以上で落札されたのです。
それ以来、村上隆の知名度は衰えることを知りません。
見本市やオークションハウスでは、この象徴的な現代アーティストの遊び心ある美学と隠れた皮肉に魅了されたコレクターたちが、彼の特徴的な作品を手に取っています。