1. 飾れる場所を確認する
ご自宅が持ち家であっても賃貸であっても、作品を飾る際には飾る場所の確認が大切です。
1 - 1. ルールを確認する
多くの場合アート作品は壁に掛けることが多いですが、持ち家の場合はご自身の好きなところに穴を開けても誰かに気を遣うことはない場合が多いです。ご家族の方と相談してみましょう。
一方、賃貸の場合は壁に穴を開けたら、大家さんに返す際に修繕費が気になるところです。国土交通省のガイドラインでは画鋲やピンなどで開く細い穴の場合修繕費は大家さんの方で負担するというルールとなっています。なので穴を開ける際は画鋲程度の小さい穴が開くピンなどを選びましょう。釘やネジなどの目立つ穴が空いてしまった場合は入居者負担となるケースが多いです。
※個別のケースなどで対応が異なる場合があるようなので、詳細は契約書などを確認いただくことをおすすめします。
1 - 2. 壁の構造を理解する
壁は多くの場合石膏ボードが使用されていますが、石膏ボードの厚さはおよそ1~2cmとなり、重量のある作品の場合(5kg以上・もしくは30号以上のキャンバス作品など)、ピンなどで穴を刺して作品を飾る場合重さに耐えられないことがあります。
石膏ボードはいくつかの柱で支えられており、石膏ボードを支えている柱がある場所はピンを刺してアート作品を掛けても比較的安定して飾ることができます。
また、壁がコンクリートの場合はピンが刺さらないので、壁に掛けるのではなく、天井にピクチャーレールを取り付け天井から吊るして飾ることもあります。
1 - 3. 柱がある場所を探す
柱がある場所は壁の表面からみただけではわからないことが多いです。壁を叩いてみて音が軽い場合柱が入ってないと考えられるでしょう。
より確実に確認したい場合はシンワ測定株式会社が出している下地探しの器具をおすすめします。
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重たい作品でなければ、後ろに柱がなくても使用するピン次第で安定して飾ることができます。
1 - 4. 環境を整える
アート作品を飾る際は直射日光の当たらないところを探して飾るようにしてください。作品に使用されている画材は直射日光などで変色することがあります。
また、湿度の極端に高い場所でも画材の変形などがみられる場合がありますので、直射日光の当たらない、比較的空調設備の整っているところに作品を飾ることをお勧めします。
2. 飾る器具を揃える
2 -1. フック
壁掛け用のフックを使用する場合をご紹介します。
オススメなのは3本ピンフックです。3本ピンフックは壁とフックを3本のピンで留められるようになっており、比較的耐荷重が重たいのが特徴です。ご紹介している製品の安全荷重は、一つで約5kgとなっています。紙に描かれた作品や、4,50号以下のキャンバス・パネルなどは大抵このフックで飾ることが可能です。
また、賃貸の場合は「壁美人」という製品がおすすめです。こちらはホチキスの針でフックを固定します。ホチキスの針でも一つで6kgの耐荷重を実現している上、壁紙への傷もよく見ないとわからない程度に抑えられるためとても使いやすいでしょう。
額装されている場合、額の分をプラスして重量を計算しましょう。
フックは、以下の購入リンクを是非参考にしてみてください。
- 3本ピン Amazon
- 3本ピン 楽天
- 3本ピン モノタロウ
- 壁美人 Amazon
2 - 2. ピクチャーレール
ピクチャーレールは、ピンの穴を壁に開けずに飾ることができる、壁や天井に取り付けるレールです。カーテンレールと類似した構造をしています。
ピクチャーレールは複数のパーツから構成されています。 レール本体、レールの中に入れてワイヤーを引っ掛けるランナーと呼ばれるフック、レールの端を塞ぐためのストッパー、フックにかけるワイヤー、ワイヤーに取り付ける作品を掛ける用のフック、の5つから構成されています。
ピクチャーレールを新規で取り付ける場合は、専門の業者さんに壁の下地の確認などを行なってもらって取り付けることをオススメします。
しかし、製品によっては石膏ボードに取り付けやすいものもありますので、以下のリンクを参考にご検討してみてはいかがでしょうか。ニトリなど身近な家具店でも取り扱いがあります。選ぶ際は耐荷重に注意してご検討ください。
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- ニトリ
3. 作品側の取り付け準備
3 - 1. 一カ所で結ぶ額紐
作品の支持体(描かれる側の素材)が紙の場合、額装しないと展示することができません。また、キャンバスやパネルなどに描かれた油彩画や日本画の場合も、額装しているかもしれません。その場合は、額側に紐を通すための吊り金具と、額紐で飾るのが一般的です。
ほとんどの場合、額の裏側にはすでに吊り金具がついています。そのため、このセクションでは紐の結び方を解説します。作品と額の重さが合わせて5kg以下の軽い作品の場合には、以下のような一カ所結びがおすすめです。なるべくピンと張った状態が理想的です。
動画でもわかりやすく説明されていますので、ぜひ以下の動画をご参考にやってみてください。
額装されていない・重い作品
キャンバス・パネル作品では、額装をせずにそのまま飾ることも一般的です。サイズが大きいために額装に高額なコストがかかったり、アーティストが無額装で自分の作品が展示されることを希望する場合もあるでしょう。そのような場合、木枠の裏側にヒートンや吊り金具を取り付けることで、額装時と同様に紐を取り付けることができます。
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3 - 3. ハンガープレート
ハンガープレートは、上記の紐取り付けのための金具と異なり、耐久性の高い鋼鉄を取り付けて引っ掛けます。
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3 - 4. 壁掛けメタルフック・ドッコ
ハンガープレート・メタルフック・ドッコなどの方式では、紐を使わずに展示をすることが可能です。壁と作品裏面それぞれに、噛み合うように作られた金具をネジで取り付けることで安定させます。耐久性や安定性に優れている方法です。
注意点としては、取り付けの際に正確に水平を出しておかないと後から少しだけ調整することが難しいという点があります。これらを使用する場合には、次のセクションでご紹介する水平器・メジャー等の道具は必須になってきます。
- 壁掛けメタルフック Amazon
- ドッコ 楽天
3 - 5. 補助製品
額紐やハンガープレートを使用する場合、作品が「おじぎ」してしまいます。小作品でしたら気にならないことが多いですが、大きな作品ではかなり見栄えに関わってくるでしょう。そこで、作品の裏の下部分にゴムなどを取り付けることによって壁と並行な向きを保つことができます。万能パッキンという製品も、隙間を微調整する際には便利です。こちらはテープ等で接着する必要があるのでご注意ください。
高さを出すことが目的なので、木片などある程度の剛性があるものならば上記の製品の代替が可能です。
- 裏ゴム Amazon
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4. 飾る
4 - 1. 高さを測る
2人がかりで展示作業を行えると理想的です。一人が実際に両手で絵を掲げて丁度良い高さを見つけ、もう一人が壁に位置の印をつけておきましょう。
作品の高さは、目線と作品の真ん中が合う程度が丁度良いと言われていますが、ご自宅で飾る際はギャラリーや美術館よりも近くで眺めることが多いためもう少し下が最適かもしれません。飾る方法により印をつけるべき位置が変わりますが、通常の3本ピンフックなどは以下の計算式を目安にしてみてください。
(自分の目線) + (作品の高さ÷2) - (木枠の幅) - 10 = フック取り付け位置
e.g.) 160cm + (50cm÷2) - (5cm) - 10 = 170cm
額紐を使用する場合は紐のたわみがあるため正確な高さを出すのが難しいですが、上の計算ではおおよそで10cmの余裕を持たせてあります。作品の高さによってこの数値を調整しましょう。
メジャー(コンベックス)を使用し、壁のどこにフック等を取り付けたらよいか印をつけます。
メジャーで床からの壁の高さを測るときには、先端を足先で壁と床の境目に固定しつつ、長めに出しておきメジャーの剛性を利用してつっぱることで、楽に測ることができます。
印をつける際には、マスキングテープがおすすめです。粘着性が適度に弱く、位置調整に最適です。最後は簡単に剥がせるので、鉛筆と違って跡も残りにくいでしょう。
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4 - 2. 水平調整
ハンガープレート・メタルフック・ドッコなどを使用する場合、取り付けの時点で水平器を利用して水平を正確に出します。額紐を使用する場合、紐の位置をずらすことで水平を調整できるので、フックを取り付けて作品を掛けてから水平器を使用します。
最も一般的な気泡式水平器や、デジタル式、レーザーポインター付きなど様々なものがありますが、安価なものでも性能に信頼が置けるので気泡水平器がおすすめです。作品の上に置いたり、ドッコなどは壁に取り付けた部品の間に渡して、気泡の位置を真ん中に合わせることで水平を出せます。
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5. 流れの確認
様々な道具や方法をご紹介してきましたが、作品展示作業の流れを一目で確認しましょう。
6. 付録 - DIYに興味があるあなたに
賃貸にお住まいで、壁に一つも傷をつけたくない、そしてライトなDIYにも興味がある。そんなあなたにおすすめなのが、2x4(ツーバイフォー)という木材で柱を立て、そこにネジ打ちできるようにする方法です。
ラブリコ、ディアウォールといったジャッキ製品を使用します。突っ張り棒の要領で、天井高より少し短くした木材の端に上記の突っ張りの役割をしてくれる部品を取り付けます。
-ドライバー
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