1840年、パリに生まれたクロード・モネは、印象派の代表的な画家です。
彼は同じモチーフを異なる時間帯で何度も繰り返し描く連作という手法を実践した、実験的な画家として知られています。この手法により、モネの作品は輝きをもち、生き生きとした絵画を実現しました。
今回は、10個の章でモネが成し遂げたことを学んでみましょう。
①「印象派」の由来
印象派という言葉は、1874年にモネとその仲間たちがサロンの代わりに開いた独立展の第1回目に出品した絵画《印象、日の出》のタイトルに由来します。
当時フランスで活躍していたユーモア作家のルイ・ルロワが、グループを揶揄するために「印象派」と呼び始めたのが始まりでした。
ルロワは、印象派の最初の展覧会を「印象派の展覧会」と題して批判しましたが、不思議なことに、後々評価は高まり、結果的にはこの美術運動を有名にしました。
《印象、日の出》1872年
②睡蓮を描いただけではなく、植えていた
モネは1883年、パリからセーヌ川を下ったジヴェルニーという小さな村で制作を開始しました。
そして1893年、自宅前の土地を購入し、そのスペースに日本庭園を造営しました。敷地内を流れる小川を利用して大きな池をつくり、太鼓橋をかけました。その池に睡蓮、柳や低木を植え、外界から隔絶された水の世界に閉じこもり、最後の連作「睡蓮」を制作したのです。
庭の脇にはガラス張りのアトリエを作り、自由に転がせる車輪付きのイーゼルを設置し、部屋の中を自由に動き回れるようにしていたそうです。
そこで彼は、朝昼晩と時間帯によって変化する池と睡蓮、そして反射する光のイメージを次々と描き出しました。
このシリーズでは、岸辺の柳、太鼓橋、夕暮れの空など、さまざまなイメージを描いています。
しかし、彼は最終的に池そのものの描写に集中するようになります。
《ジヴェルニーの画家の庭》1900年
③浮世絵の影響を強く受けていた
モネは、日本の造園様式を参考にしただけでなく、画題や画法も日本美術から大きな影響を受けています。
例えば、下の画像は歌川広重の木版画です。
モネの絵の中にも似たようなものがありませんでしたか?
歌川広重などが作った日本の彩色木版画は、紫色の藤の花がアーチ型の橋の向こうの柱に沿って優雅に散る様子を細かくクローズアップしており、画家がジヴェルニーの睡蓮の庭を描いた絵のインスピレーションとなりました。
歌川広重|亀戸天神境内
④自殺未遂を経験していた
評価と名声が高まる一方で、モネは経済的な苦境に悩まされることが多かったのも事実です。
1868年、長男ジャンが誕生した直後、モネは経済状況にますます苛立ちを覚え、セーヌ川に身を投げて自殺を図りました。
幸いにもこの時は失敗しましたが、モネが直面する不幸はこれが最後ではありませんでした。
1876年、2度目の妊娠中に妻のカミーユが病気になり、1879年に32歳の若さで亡くなっています。
《日傘をさす女性- 画家の妻と息子》1875年
⑤後世の芸術家に多大な影響を与えた
モネはロイ・リキテンスタインなどの、近代のアーティストにも大きな影響を与えました。
リキテンスタインはアメリカのポップアート画家で、アンディ・ウォーホルなどとともに一大勢力を築き上げました。
この作品《Red Barn》は、リキテンスタインの有名な《Haystack》と《Cathedral》シリーズに続くもので、リキテンスタイン自身が「複製されたモネ」と呼んでいたものです。
1969年から1993年にかけて、リキテンスタインはモネが同じモチーフを描いたのと同様に、20以上の版画シリーズを制作しています。
ロイ・リキテンスタイン《赤い家》1969年
⑥《睡蓮》シリーズ専用の美術館
実は、モネは有名な晩年の作品《睡蓮》シリーズのためだけに特別な部屋を美術館に設計されています。
さらにに、その部屋をGoogleストリートビューで見て回れることをご存知ですか?
1918年11月11日の休戦の翌日、クロード・モネが平和の象徴としてフランス国に献上した睡蓮は、彼の死後数カ月後の1927年に、彼の計画に従ってオランジュリー美術館に設置されました。
現在、オランジュリー美術館の中で「睡蓮の部屋」と呼ばれているこの楕円形の部屋は、まるで絵画の世界の中と一体化したような没入感を得ることができ、世界で有数の美術館で目白押しの街パリの中でも、とても人気の高いスポットになっています。
オランジュリー美術館のモネの部屋
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